かぶとむし日記

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被災地の現状と対策について③④(山本太郎代表より)

【以下、山本太郎代表の「被災地の現状と対策」報告③④です】



③【提案◎ ニーズを聞きとるではなく、支援メニューを示せ】

「何をやって欲しいですか?」
パニック状態、
目の前のことで精一杯の状態の時に
そう聞かれても、答えられないのが人間ではないだろうか。
それはいち市民でも首長でも同じである。


明日の家族の食事は?明日の住民への食事の提供は?
頭に浮かぶのは目の前のこととなる。


ニーズを聞き取って対応する、とは聞こえが良い。
でも実は丸投げに近いことを意識していただきたい。


例えば、自衛隊は要望があれば炊き出しを行えます、お風呂を提供できます、
過去には例外的にこのようなこともやりました、
などなど支援メニューを細かく示しながら被災自治体をバックアップすることはあまり行われていない。


あくまで例として示したが、
それ以外でも細かくメニューを示し、
国の支援の具体を説明、伴走することを求める。


要望がないからやっていない、のではなく、
何ができるか知らないから要望できない、と
理解していただきたい。


被災自治体の首長も被災者の1人である。


長期的視点を持って被災住民のために
職務を遂行していただけるよう
意識して国がサポートするべきである。
 

【提案◎ いつまでに出来るかの見通しを示せ】


今回聞きとりを行った全ての被災者に、
最後の質問として「政府が一つだけ何でもやってくれると言うなら何を望むか」と聞いた。
この災害で自宅全壊となった者でも
国のお金で自宅を再建して欲しい、
とは言わなかった。


出された要望は、
「水」「食事」「トイレ」「お風呂」「電波」が最も多かった。
控えめで自立心旺盛、我慢強い能登の人々が望んだことは目の前のこと。


加えて、欲しいものは「見通し」であった。
元旦からお風呂に入っていない被災者たち。
いつお風呂に入れるか、
見通しがわかれば待てる、という。


避難所で自前の灯油で暖をとる被災者。
いつ灯油が届くかの見通しがあれば、
節約しながら何とか凌ぐという。
でもそのようなインフォメーションはない。
暗闇の中にいるようだと話されていた。


被災者は無理なお願いを政府にしているのだろうか?
見通しを示してほしい。
現実的で最低限のお願いではないだろうか。


【提案◎ 現場を見ろ。安心させろ】


交通渋滞による物資の滞りを理由に
総理が被災地入りを見合わせるとの報道があった。
国会議員の視察を含めて控えることを与野党でも合意されたと。
それについてどう思うかを被災者に聞いた。
「意味がわからないんですけど」
「どうしてですか?」
「ヘリで来れば良いじゃないですか」
との意見が相次いだ。


総理や政治家が役人からの報告や
テキストだけでわかった気になり
被災地のことを決めていくことへの不安感ではないだろうか。


この極限状態を前に、
現場を自分の眼で見ずに知らずに
政治決定を行えるというなら、
AIが代行すれば良いのではないか?
AIなら裏金問題や
一部の者だけへの忖度も、
権力維持のことしか考えない振る舞いもしないだろう。


一方で、目の前で困っているのは
血の通った人間で、この国に生きる大切な宝だ。


総理の被災地訪問の見合わせに対して、
現場を直接見て、被災者の声を聞いて、
しっかり取り組むと約束をして欲しい、
との声が多かった。


心配するな。国がちゃんとやる、
能登半島で約束をして、
不安の中にいる能登の人々を安心させていただきたい。








④【最悪の事態を想定しているか】

政府は、
この災害が最悪の場合、
何を生み出すことになるか想像できているだろうか。
先述のNPOの方々は、
このままでは、
熊本地震以上の災害関連死を出す恐れがある」、
と懸念している。
その危機感が政府や永田町にあるだろうか。


発災時期を考えて貰いたい。
東北の大震災は3月。
熊本地震は4月。
春に向かって、もしくは春に起こった災害だ。


能登半島地震は元旦。
これから更に厳しい寒さへ向かう中で起きた災害だ。
能登半島を含む石川県全域が豪雪地帯である。


今日から雪は降り始め、
明日には積雪予想20cmの市町村もある。


降雪、積雪の中、
道路の修復や復旧作業は困難。
加えて、通常時、
除雪作業は地元建設業者なども請け負うという。
除雪作業と復旧作業の両輪を廻せると考えるのは
現実を見ているとは言えない。
(もちろん全国の建設業者を大々的に雇って行うならば可能だろう。
その場合、当然万博は中止、徹底した積極財政で被災地も支える覚悟が必要だ。)


道路だけの話ではない。
報道にあった首長の話で、
市内の9割全壊・半壊、という状態から考えれば、
この時期からの復旧・復興作業は困難と言える。


仮設住宅ができるのはいつになるだろう。


避難世帯分の仮説住宅、その土地を賄うならば、
少なくとも更地にしたあとになるのではないか。
完成はGW?それよりも後だろうか。


その間も避難所での生活を続けるのは無理だ。
すでに衛生環境が良いとは言えず、
ストレスを溜める方々も多く、
避難所によってはインフルエンザが拡大していると聞いた。
トイレ後に手を洗うこともできない避難所が多くを占める。


【提案◎ 広域避難を求める】


地域ごとにコミュニティーを壊さない広域避難が必要ではないか。
仮設住宅が整備されるまでの間(春以降までか)、
半島の外で安全で快適に過ごせる宿泊施設を利用した避難所のプランを早急に実行すべき。


2040年問題(少子高齢化による経済や社会維持が危機的状況に陥る)の
最悪シナリオを現時点ですでに上回った状態にあるのが、
現在の珠洲市であると現地の理学療法士から聞いた。


高齢者はもちろん、
生活をともにする家族を含めて命と暮らしを守るために、
避難所生活を無理に続けさせない大胆な策が今、求められる。
 

【提案◎ ノウハウある者の雇用・経済的支援を】


正月明けから本格スタートとなった災害対応の初動の遅れ、
これまでの災害対応の蓄積を行なって来なかったことによる対応のマズさ、
復旧・復興作業が滞る厳しい冬の本格化など、
様々な影響により大幅な災害関連死の増に繋がることを
現場で活動するエキスパートのNPOたちが懸念している。


災害省などを立ち上げ、このようなエキスパートを
国が雇用、または活動への経済的支援を100%にするなどし、
そのノウハウの蓄積を始めなければ、毎年増え続ける災害に、
彼らが倒れてしまうのも時間の問題かも知れない。


今も被災地で身を粉にする人々の善意にいつまで甘えるつもりか。
使命感の搾取をいい加減止めなければならない。


何より言葉だけではない危機感と合わせて、
能登半島の被災者や昨年の豪雨被害も含めた
忘れられた被災者対応を行うと、今こそ政治が使命感を持つべき時である。


【最後に◎ いわゆる避難弱者への配慮】


女性や高齢者、障害者、病気がある人、
薬が必要な人に対する緊急的な支援や配慮が必要であることは言うまでもないが、
現場ではそこまでカバーできる状況でないことが気がかりである。
ここにおいてのサポート人員増も絶対的に必要であることは最後に書いておく。


以上、現地から荒削りの文だが、現時点で確認した上で政府に提案し、
県知事にも政府に強く要求していただけるよう要望する。