かぶとむし日記

映画、音楽、本の感想を中心に日記を更新しています。

蒲田の立飲み屋をハシゴする(4月13日)

川越から出る。

12時にRさんと目黒駅で待ち合わせる。ビールと弁当を買い込んで、最初「東京都庭園美術館」へいく。

ここで食事をすませて、隣接する「自然教育園」へ。木々が自然のままに茂っていて、散歩には気持ちよかった。ここが白金台だとはおもえない。山歩きでもしているような気分だった。

途中、川伝いをゆっくり這う蛇を見る。目のいいRさんが見つけた。長細い蛇で、段々に木橋の下の隙間にもぐっていく。それからすっぽり隠れた。その橋の上をなにもないように、ひとが歩いている。

16時に、Yさんと蒲田のマグドナルドで待ち合わせる。YさんとRさんと、立飲みの居酒屋を探した。

立飲み「日本再生酒場」へ寄る。残念ながらホッピーがない。15分ほどして、子どもが小学校から帰ってくるので、Rさんは一度大森の家へ帰る。

Yさんと二人、「辰万」という立飲み屋へ移る。ここもホッピーがなかった。都知事選で石原慎太郎が再選されたことが残念……そんな話をする。

Iさんにメールしたら蒲田のアパートにいたので、蒲田駅で待ち合わせ、「くま寿司」へいく。Yさんは飲み疲れたのか、途中からお茶を飲んでいた。

Iさんと「くま寿司」で別れ、Yさんと、大森のRさんの家へ向かう。道がわからないので、Rさんが迎えにきてくれた。家にいくと、Rさんの夫のTさんが帰ってきていた。小学校の2年になった息子さんもいた。

T・R夫妻とYさんと、改めて飲む。

美男子のTさんは、いつも笑顔が美しい。RさんとYさんとぼくは、むかし同じ会社につとめていたことがある。だから、自然そのころの話に流れることがおおい。

当時の社長(わたしの友人でもある)の話題が出たので、電話してみる。ぼくは正月にあっているが、YさんもRさんも、10年ぶりに聞く声だった。

Rさんは「うわぁ、あの頃と同じ声だ」といって、懐かしそうな顔をしていた。

23時を過ぎていた。最終の時間が迫ってくる。

ぼくは泊まってもいいような気がしてきたが、Yさんが帰るというので、急いで大崎までタクシーに乗った。新宿でYさんとわかれ、池袋へいくと、最終電車ギリギリだった。

川越へいく準急の最終電車は、乗客が乗り切れずドアをはみだしていたので、各駅の成増行きに乗る。

寝過ごすと、成増から戻る電車がないので、立ったまま東武練馬までいった。

『東京タワー オカンとボクと、時々、オトン』(上映中)

楽しみにしていた映画。オダギリ・ジョー樹木希林小林薫の共演となれば、つまらないはずがない、と。

映画がはじまって、やっぱりオダギリ・ジョーはいいな、とおもう。天性の魅力と、自然な演技が優しく流れていく。樹木希林小林薫もいいぞ。オカンの若い時代を演じる内田也哉子も違和感がない。

映画がはじまって半分くらいは、内容に惹きこまれた。優れた俳優の演技に魅了された。

しかし、段々おかしくなってくる。なんか変だ。

泣く泣く泣く……あのクールな演技のできるオダギリー・ジョーが泣いて泣いて、泣く。信じられない。

オカンが癌で死んでしまうのは、わかっている。その結末をどうするのだろう? 黒澤明は『生きる』で、後半を一気に飛ばして、主人公の死をセンチメンタルに描くことから逃れた。

この映画は……?

なんの工夫もない。延々と死までの過程を描き、息子が泣きまくる。オカンが死んでからも泣きまくる。ひとりごとをいう。位牌を東京タワーへ持参して、オカンに話しかける……。

これほど、作品中の登場人物を泣かせることに、作り手は疑問をおぼえないのかな。オダギリ・ジョーがかわいそうだよ。センチメンタルな泣かせ映画ならいい。でも、それでは俳優がもったない。

もともと、いいお母さんと孝行息子の話。ひと工夫なければ、あんまりのテーマ。それを新感覚の演出と達者な俳優陣で、感動させてくれるのでは、と期待していたけれど……?