奈良最古「飛鳥寺」の大仏。
4月29日㈪。
午前8時05分。ホテルのロビーに集合。「三条通り」はせまいので、JR奈良駅前の広い通りまで歩いて、観光バスにのる。
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きのうの夜は、幸いに「目利きの銀次」という居酒屋の4人席がとれて、飲み放題で飲んだ(妻は飲まないが)。
【奥さんを亡くしたあとの、Tochan(とっちゃん)の1日が、話にでた】
朝4時〜5時起床。大谷翔平選手の試合があるときは、それを見る。
午前、朝ご飯を食べてから、家の掃除や洗濯。
午後はKindle書籍リーダーで読書(わたしのように、ソファーにゴロリとしないで、テーブルにむかって正しい姿勢でよむ、そうだ)。
夕飯は、午後6〜7時ころ。晩酌はしないで、お風呂。
Kindle本を読みながら就眠に至る。
規則正しい老人の暮らしだ。
飲みにいくとか、映画を見るとか、そういう外出をしないらしい。聞いていて、正しすぎるのが、どうもつまらない。
裏に娘さん夫婦がいるので、何か不足があればすぐきてくれる。不安があれば、東京駅まで、新幹線で誰かがお供してくれる(笑)。
恵まれているといえば、そうなのだが、わたしは意地悪く、
「たまにはむかしみたいにパチンコでもやったらどうだい?」
というと、
「アヤコ(娘)やパパ(娘婿)にもそういわれるんだけど…」といった。
Tochanの娘さん夫婦は、ギャンブルをすすめるというより、もっと外へでたほうがいい、とおもっているのだろう。
Tochanは、一時スロットに夢中になった(そのころ、わたしはTochanと会ってない時期なので、あとから聞いた)。
仕事を休職していたころで、Tochanは、朝から晩(開店〜閉店)までスロットに没頭した。
日々、勝つために作戦をねる。
ピークのときは、仕事よりいい収入になった(らしい)。が、そのぶん疲労困憊した。1日おわると、ぐったりした。
「これなら仕事のほうがまだマシ、とおもってやめたよ」
わたしはギャンブルをしないので、スロットの醍醐味は想像できないが、そんなに実入りがいいのなら、老後の小遣い稼ぎにやってみようか…と気持ちが少しうごいた。
「もうやらないよ。疲れるからなあ」とTochanは、マジな顔でいった。
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3日目は、バスガイドさんがついた。
大変な知識量だが、そもそもこっちが基本的にしらなさすぎた。内容は右から左へ耳をとおりぬける。でも、抑揚のある声の調子がBGMになった。
「橿原神宮(かしはらじんぐう)」は、坂はなくて、面積もそれほどひろくない。わたしも、歩いた。
「飛鳥寺」付近の道はせまく、観光バスがとおるのにいっぱいいっぱいだったので、運転の技術に感心した。
そういえば、むかし妻とわたしは自転車をレンタルして、「飛鳥寺」へ来たことがあったっけ。子供のいない二十代のころだ。
「飛鳥寺」の大仏。
のどかな「飛鳥寺」周辺。
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「長谷寺」は、参道がながい。妻とわたしは、団体の最後尾を歩いていた。若いほうの女性添乗員さんが、そのあとへついてくる。
妻がふりむいて、
「(最初のあいさつで)新しく入社されたっていってたけど、今回の旅行(仕事)は何回目なの?」と聞いたら、
「はじめてです。このツアーは研修で、連休の後半は同じコースを今度はひとりでやらなければならないので、緊張してます」といった。
「そりゃあ、大変だ」とわたし。「1回だけの研修で?」
「そうなんです」
マスクで顔の下半分は見えなかったが、苦笑いの表情。この娘(こ)、話し方が実直で可愛らしい。22〜23歳?
携帯電話でよばれたらしく、とちゅうから「すいません、ちょっと先に…」と、あいさつして、前へ走っていった。
わたしは、参道の途中で、塀に貼られた「れいわ」のポスターを発見。
「おおーっ」と声をあげた。妻が「どうしたどうした」というので、「れいわ」のポスターを指でさす。
旅先で知己に遭遇したような感覚。
「びっくりさせないでよ」と、妻。
「奈良にも『れいわ』を応援するボランティアがいるんだよ、すごいじゃないか!」と、わたしが感慨にふけっていると、「そうか、よかったね」と、軽くいなされた。
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わたしは、結局参道の終点で、そこからまた、山門の石段がはじまるところのベンチで、Tochanと妻がもどるのを、まつことにした。
「長谷寺」。石段前でわたしはふたりを待つ。
まもなく、妻が、それからTochanがもどってきた。
「これで終わりかとおもうとまだ先に階段がある。キミは来なくてよかった」と妻。
「階段がどんどん急になってくるから、やめて帰ってきた」とTochan。
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参道をもどるとちゅうで、そーめんをお昼にする。
「ビールを!」と、わたしはいったが、「お酒を飲んだら、この先もっと歩くのがつらくなるよ」と、妻にとめられた。
そして、帰りにも、もう一枚「れいわ」の別なポスターをみつけた。
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バスの駐車場から太鼓橋をわたると、まもなく「室生寺」の山門がある。
「室生寺」山門。ここではじめて3人の写真を撮ってもらった(写っている3人は、わたしたちとは関係ありません)。
山門をくぐると、すぐ長い石段がある。
もはや、わたしにここをのぼる元気はない。
階段の下のベンチで、ふたりの帰りを待つ。妻は、すぐもどってきた。
「われわれは、もう坂の多い旅行はムリだな」というと、妻は「そうだね」と賛成した。
まもなくTochanも帰ってきた。
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バスはそこから「三河安城駅」まで、走りに走った。
渋滞で新幹線にまにあわないとこまるから、長めに時間をとっていたのだろう、「三河安城駅」へ1時間ほど早くついた。
時間まで、駅構内のコーヒー・ショップで休憩。
「しかし、われわれ、すわるにもたちあがるにも、『よっこいしょ』とか『どっこいしょ』とか自然に声がでてしまうね(笑)」というと、Tochanも妻も、笑いながらうなずいた。
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体力の衰えを痛感する旅行になったが、3人旅はたのしかった。
妻が「癒し系のひとだね」とTochanを評したが、2泊3日いっしょにいても、ぜんぜん疲れることがなかった。
新幹線が東京駅へついて、わかれるとき、
「心配だから熊谷までついていこうか?」といったら「迷ったらパパ(娘婿)に迎えにきてもらうから大丈夫!」と、自虐ネタをいって笑っていた。
Tochanとわかれ、妻とふたりだけになったら、ちょっとさびしくなった。