かぶとむし日記

映画、音楽、本の感想を中心に日記を更新しています。

ポール・バーホーベン監督『ブラックブック』(2006年)


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何者かの裏切りで家族をナチスに殺害されたユダヤ人歌手ラヘルは復讐のため、ドイツ将校に接近するが……。レジスタンスの光と影を生きた女性の半生を、23年ぶりに母国オランダで制作したバーホーベン監督の壮大なサスペンス・エンターテインメント!


(「ギンレイ通信」VOL.100)


ユダヤ人女性ラヘル(カリス・ファン・ハウテン)は、レジスタンスのてびきで家族とともに脱出をはかるが、待ち受けていたナチスの銃撃に襲われる。家族全員、目の前で即死。ラヘルただひとり、川にとびこんで奇跡的に生き残る。


ラヘルは、家族の復讐のため、レジスタンスの仲間にはいる。引き受けた任務は、ドイツのムンツェ大尉(セバスチャン・コッホ)の情婦になって、敵の情報を仲間に流すこと(=スパイ)だった。家族を殺されたナチスへの憎しみは激しかったが、ラヘルは、いつか妻子を空爆で失ったムンツェ大尉にこころ惹かれていく。

前半は、容赦ないナチスの冷酷なユダヤ人迫害が描かれる。しかし、後半はレジスタンスの行動がすべてナチスにさきどりされて、誰か仲間に裏切り者がいることが明らかになる。

疑惑はラヘルに向けられるが、本当の裏切り者は?

ラヘルを演じる女優(カリス・ファン・ハウテン写真)がとってもいい。憎しみと絶望と悲しみ、敵国の大尉を愛してしまう女性としての戸惑い……途中からカリス・ファン・ハウテンに目が離せなくなる。

彼女の演技がいいので、本来娯楽サスペンスなのに、家族や愛するひとを失う、深い悲しみが伝わってくる。


ギンレイホールにて