6月14日(土曜日)の9時45分から、イオン板橋で、ダーレン・アロノフスキー監督、ラッセル・クロウ主演の『ノア約束の舟』を見る。
旧約聖書の世界がどのような映像で視覚化されるか、楽しみにしていったが、まずまずおもしろかった。ただこういうスペクタル巨編のわりには、登場人物のドラマの部分にウエイトが置かれているので、映像的なおどろきは、期待以上でも以下でもなかった。
わたしの「ノアの箱舟」の知識では、神が悪人を洪水で滅ぼし、善人と動物だけを箱舟に乗せて救う、というものだったが、この映画でノアが神から受けた使命は、違う。
業の深い人間は全て、ノアの家族を最後に地球から絶滅させ、動物だけの平和な世界を新たに創生させよ、という過酷なもの。
人類は、どれだけ殺戮の歴史を重ねても、そこから何を学んだのか、剥き出しの欲望と残虐な資質は、いまも一向に変わらない。
その人間の救いがたい残虐性を鋭く描いた映画『アクト・オブ・キリング』(ジョシュア・オッペンハイマー監督、公開中)を、その2日後に見たいま、ノアに人類絶滅を命じた神の意志は正しかったのではないか、と思ってしまう。