かぶとむし日記

映画、音楽、本の感想を中心に日記を更新しています。

角田光代著『紙の月』を読む。

このところ外出用に持って歩いていた角田光代『紙の月』(ハルキ文庫)を、おもしろく読んだ。


紙の月 (ハルキ文庫)

紙の月 (ハルキ文庫)



夫との関係がしっくりいかない梅澤梨花は、大学生の光太と出会い、夫には抱くことのなかった強い感情で惹かれていく。


最初は、その光太の借金を返すため、勤めている「わかば銀行」の顧客のお金を一時的に借りたのがはじまりだった。そのときは、すぐに返すつもりだったが、、、


光太との時間を、梨花は高級ホテルで過ごし、ハイヤーで移動し、ブランド品を次々買い・・・・・贅沢は加速度的にふくらんでいく。


1万円や2万円は、実体のあるものとして感じられるが、それが100万円となり1000万円となると、もうお札の固まりとしか感じられなくなってくる(手元に本がないので、正確な引用ではないけど)ーーーそんな梨花の心中を説明した文章を読んで、なるほどそういうものか、となんだか妙になっとくした。


すでに映画『紙の月』(吉田大八監督)の予告編を見ているので、梅澤梨花宮沢りえのイメージでしか考えられなくなっている。大量の偽造証書を作成し、お金の穴埋めに奔走する梅澤梨花は、哀しく美しく、11月に公開される映画への期待も大きくなる。


<映画『紙の月』の予告編は、こちら>