かぶとむし日記

映画、音楽、本の感想を中心に日記を更新しています。

浅草を散歩する。

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桜橋から見た隅田川


10月8日、月曜日のつづき。


映画『かごの中の瞳』を見たあと、日比谷から上野へ移動。立飲み「たきおか」へ寄って、ホッピーとおつまみ数点でお昼。


ほろ酔いで銀座線に乗り、浅草へ出る。浅草寺(せんそうじ)周辺は、たくさんのひとでごったがえしていたので、吾妻橋をわたって対岸へ向かう。吾妻橋のうえから、ひさしぶりに隅田川を眺めた。


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吾妻橋、現在。


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広重が描いた吾妻橋


吾妻橋は、身投げの名所だった、といわれる。


落語では、吾妻橋で身投げをしようとする話、「唐茄子屋政談(とうなすやせいだん)」や「文七元結(ぶんしちもっとい)」などがおもいだされる。


「唐茄子屋政談」は、こんな話。


道楽をしつくした若旦那は、親から勘当されてしまう。


無一文になると、「いいわよ、あなたが勘当されたら、わたしが面倒見てあげるから」なんて、いっていた吉原のなじみの花魁も、だんだんに鼻ツマミで邪険になってくるし、「いや若旦那、親父さんに勘当されたらあっしのとこで上げ膳下げ膳お好きなようにお暮らしなさい」なんていってた出入りの頭(かしら)も、「若旦那も、そろそろ頭を下げて家へお戻りなさってはいかかですか」と、冷たいさぐりをいれてくる。


お金はなくなる、人情には失望する、若旦那が身投げをしようと橋の上に立ったのが、この吾妻橋


もっとも現在の吾妻橋は、立派な鉄の橋だけれど、これはたしか昭和になってから建て替えられたのでは(気になってWikipediaで調べたら、関東大震災で焼けた木橋を、1931年(昭和6年)に、現在の橋に建て替えたとある)。


若旦那は、ここで親戚のひと(叔父さん)にひろわれ、行商に出される。背中に天秤棒を背負い、「唐茄子」を売り歩くところから、身を立て直していく、という人情話。原作は、三遊亭円朝


わたしは、身投げはしないで、対岸にわたる。



隅田公園を歩く。


以前酔い覚ましに隅田公園の池のとこのベンチに寝ていたら、えらく騒がしいので、目をさますとすぐ前を若い奥さんたちの団体が、華やかな色のショートパンツをはいて、マラソンをしている。すぐ前を通っていくのだが、ベンチに寝ているわたしをムリに見ないようにして走っていく。このときも、恥ずかしいおもいをした。


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隅田公園の池。


いまは、誰もいない、とおもったら池の向こう側に、青と赤の着物を着たふたりの若い女性が、池の端で、なにか話している。その内容がわからないまま、はなやいだ声がきこえてくる。ちょっと風情があった。


牛島神社、三囲神社(みめぐりじんじゃ)と歩く。三囲神社は、鳥居が隅田川の土手のほうに飛び出ているのが特色で、広重の浮絵にも描かれている。


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いまの三囲神社。


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広重が描いた三囲神社の鳥居。



歩行者専用の橋、「桜橋」をわたって、浅草側へもどる。


運動場のわきを通っていくと、「待乳山聖天(まつちやましょうでん)」へ出る。


ここはむかしの高台、景勝地で、桜の季節など、隅田川の桜が一望できたようだ。浮世絵などではかなり高いちょっとした山のようにえがかれているけれど、実際にいってみるとそれほど高いわけではない。


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待乳山聖天


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待乳山聖天からの眺め。いまは木々に隠れて何もみえない。


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広重が描いた待乳山聖天


参拝客は、みなさん鳥居の前で一礼して石段を登っていくが、わたしは無信心で、礼拝はしないことにしている。失礼して、石段を登り、境内を歩く。



二天門から浅草寺へはいる。途中人力車が3台通ったが乗っているのは、みな外国人(西洋人)だった。


浅草寺(せんそうじ)の境内をひとまわりして、浅草の飲み屋街へ向かう。


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浅草寺をぬけて、飲み屋街へ。


どこかで軽く飲んで帰ろう、と居酒屋をさがしたが、どこも満杯。一軒、ホッピー通りに、ちょっとあいたスペースがあったので、「ひとりですがよろしいですか」とこわごわ聞いてみると、顔に残念そうな表情を浮かべたので、答えはわかった。


それで、競馬中継を見ながら一杯ひっかける立飲み屋さんがあるのを知っていたので(わたしは競馬はやらないが、安いし、ひとりでも入れるので時々寄る)、奥のすき間にいれてもらう。


カレー(ご飯なし)と、やきとんとつくねを肴に、酎ハイとホッピーを飲む。



浅草から上野まで歩いていこう、とおもったが、酔いもまじってけっこう疲れた。途中、田原町から地下鉄にのって上野へもどる。


こんどはすわれるところで飲もうと、再び上野の繁華街へはいる。