かぶとむし日記

映画、音楽、本の感想を中心に日記を更新しています。

相澤冬樹著『安倍官邸 VS. NHK』と韓国映画『それから』(1月13日)。

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韓国映画『それから』。




1月13日、日曜日。渋谷のアップリンクへ、ホン・サンス監督の『それから』を見にいく。


時間より早く着いたので、映画館近くの「ベローチェ」で、40分くらいコーヒーを飲みながら、相澤冬樹著『安倍官邸 VS. NHK 〜森友事件をスクープした私が辞めた理由』(電子書籍)を読む。


安倍官邸vs.NHK 森友事件をスクープした私が辞めた理由

安倍官邸vs.NHK 森友事件をスクープした私が辞めた理由


少し前「週刊文春」に、NHK記者・相澤冬樹氏の、森友事件を追っていくうちに「記者」の職からはずされたという記事が出ていたが、この本ではその発端となる森友事件取材の様子から、だんだん彼の熱心な取材がNHKの上司からうとまれていく経過が詳細に書かれている。


しかしこのタイトル、安倍政権とNHKを「VS.」としてとらえるのは、へんじゃない?


そもそもNHKは、安倍政権と対峙していない。それどころか、政権の広報メディアになりさがっている。


辺野古のサンゴは、ほかへ移動させている」


正月から、こんな安倍首相のウソを拡散した放送局がNHKだ。ウソをふりまく安倍晋三首相に「真偽」を追求する姿勢をまったくもっていない。


本に話をもどすと、森友事件とはなんだったのか、もう一度ふりかえる機会にもなった。国有地のただ同然の売買の本質を隠すためにか、籠池夫妻の「補助金詐欺」に問題をすりかえていく過程など、思い出すに、政権とそれに忖度する官僚への怒りが、もう一度ふつふつ沸いてくる。



13時10分から、ホン・サンス監督の『それから』を見る。



映画『それから』予告編



出版社で働く女性が社長の愛人と間違えられたことから起こる騒動を美しいモノクロ映像でユーモラスにつづった人間ドラマ。


小さな出版社で働きはじめた女性アルム。社長は妻に浮気を疑われており、アルムの出社初日に社長夫人がやって来て彼女を夫の愛人だと決めつける。その夜、社長の本当の愛人である前任者がひょっこり戻ってきたことから、事態は思わぬ方向へ転がっていく。


(「映画.com」より)
https://eiga.com/movie/88693/


映画『それから』は、会話映画。登場人物は4人くらいで、ほとんどの画面が、誰かと誰かが会話している。ストーリーは簡単なので、その会話のニュアンスを感じとるのがこの映画を味わう鑑賞の仕方なのだろう。


しかし、来る途中の東武東上線で、読んでいる電子書籍タブレットを、うとうとして床に落とすという失敗をやった。悪い予感がした。その予感はあたってしまった。


映画の半分くらい寝てしまう。半分くらい寝たら、映画のニュアンスなんてぜんぜん伝わってこない。作品のよしあしにかかわらず、こういう淡々とした映画は、体調を万全にして向かわないと監督の意思をきちんと受けとめるのはむずかしい。


最後に「社長」は、ひさしぶりに訪ねてきた女性アルムに、わたしの好きな本といって、韓国語に翻訳された夏目漱石の『それから』をあげる。


もっとちゃんと見たかった。



帰り、センター街の「テング酒場」で、ホッピーを飲みながら、日替ランチを食べる。


お店を出て、スクランブル交差点を渡ると、広場で、なにか呼びかけている。外国人が得ている特典や優遇に反対する訴えらしい。おじさんたちのなかに、若い男性、若い女性も含まれている。こんな若いひとたちも、ひとを差別する考えに染まってしまうのか、とおもうと、ひどく寒々しい気分になる。酔いも醒めた。


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少人数だけれど、彼らの演説に反対のポスターを掲げ、ハンド・スピーカーで抵抗するひとたちがいたのが救い。