かぶとむし日記

映画、音楽、本の感想を中心に日記を更新しています。

リンゴ・スターのコンサートを見る(4月3日)。

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4月3日、水曜日。


きょうは、リンゴ・スター&ヒズ・オールスター・バンドのコンサートへ行く日。


少し早めに三軒茶屋へ着く。



きょう一緒にリンゴを見るYさんと、開場まで時間があったので、ぶらぶら周辺を散歩して、居酒屋を探す。


Yさんが串焼きの居酒屋をみつけたので、寄る。湯豆腐と串焼きで、わたしだけ、ビールとハイボールを飲む。


コンサートの途中でトイレへ行きたくなると困るので、2杯で自粛。あったかい湯豆腐がうまかった。


午後6時から開場なので、ゆっくり、きょうのコンサート会場「昭和女子大学人見記念講堂」まで歩く。


入場の長い列ができていたので、最後尾に並ぶ。いよいよビートルズのドラマー、リンゴ・スターのコンサートである。


前回見たのは、自分のブログで確認すると、2016年10月31日、渋谷のオーチャード・ホール。この日は、ハロウィンの日で、渋谷は混雑していたな。



リンゴ・スターは、1980年代、アルコール依存症で苦しんでいた。出すアルバムは売れず、ほとんど音楽活動も休止状態だった。


アルコール依存症の更生施設で治療を受け、1989年、リンゴ・スターは、音楽界へ復帰する。



そのときスタートしたのが、第1期、リンゴ・スター&ヒズ・オールスター・バンド。当初は、リンゴのリハビリの意味合いもあったのかもしれない。


その年(1989年)、日本にも来日。日本武道館でコンサートを見た。ビートルズのメンバーがソロとしてはじめて来日した記念の年である。リンゴは、ちょんまげのようなヘア・スタイルで、後ろで長い髪を結んでいた。


それから、30年。リンゴは、快調にすぐれたアルバムを発表するようになり、オール・スターバンドも続行、休むことなくライヴ活動を続けている。80年代の悪夢がうそのように元気だ。


ビートルズの最年長だったリンゴは、1940年7月7日生まれ。


現在78歳、7月が来ると79歳。いま、リンゴはますます好調をキープしているようにみえる。アルコール依存症を克服して、奇跡のように元気だ。



最初に断ってしまうと、わたしはコンサート全体を冷静に見られない。どうしても、関心はリンゴ・スター、この一点にしぼられてしまう。


中3男子のときに、このひとのドラミングに魅せられてしまった。力ではなく、やわらかなスナップをきかせて、ときには憂鬱そうに、でも時折やさしい笑顔をみせてドラムを叩くリンゴ、その姿が目に焼きついてしまった。


両親を脅迫して、ドラム・セットを買わせた(笑)。ものにはならなかったけれど、いつも自分がリンゴになったような気分で、ドラムを叩いていると幸せだった。



午後7時を20分くらい過ぎて会場のライトが消える。


オールスター・バンドのメンバーが登場し、演奏がスタート。いっしゅん遅れて、主役のリンゴ・スターが登場する。


わたしにとっては「リンゴ神」が降臨した、というような気持ち。リンゴの周辺だけが明るいような・・・。双眼鏡で、リンゴの姿を追う。


第1期のころは、酔っ払いのおじさんが歌っているようなマイクの前のぎこちない動きも、少しずつ洗練されてきた。ドラムを叩かずに歌う姿もサマになってきた。


とはいえ、ビートルズ時代のように、ドラムを叩きながら歌うリンゴのかっこよさには及ばないが。


セットリストはすでに発表されているが、毎回変わらない。


オープニングは、カール・パーキンスのカバー、「マッチボックス」。日本ではシングル「マッチボックス/スロー・ダウン」のカップリングで1964年に発表されている。


BBCラジオのスタジオ・ライブをべつにすると、ビートルズ時代にライブで演奏されたことはないが、1985年、カール・パーキンスの「ブルー・スエード・シューズ」発表30周記念のライヴにジョージ・ハリスンエリック・クラプトンとともに出演。ドラムを叩きながら歌っている(たしか、一番をリンゴ、二番をパーキンス、三番をクラプトンが歌っていた)。


リンゴの歌う一曲一曲に想い出が重なり、それを追いかけているとキリがなくなる。


リンゴがメインになった曲だけをセットリストであげてみる。

  1. Matchbox(ビートルズ。アルバム『パストマスターズ』収録)
  2. It Don't Come Easy(当初はシングル盤。のちにソロ・アルバム『リンゴ』にボーナス・トラックとして収録)
  3. What Goes On(ビートルズ。アルバム『ラバー・ソウル』収録)
  4. Boys(ビートルズ。アルバム『プリーズ・プリーズ・ミー』収録)
  5. Don't Pass Me By(ビートルズ。アルバム『ザ・ビートルズ』収録)
  6. Yellow Submarine(ビートルズ。アルバム『リボルバー』収録)
  7. You're Sixteen(ソロ・アルバム『リンゴ』収録)
  8. Anthem(ソロ・アルバム『リンゴ 2012』収録)
  9. I Wanna Be Your Man(ビートルズ。アルバム『ウイズザ・ビートルズ』収録)
  10. Photograph(ソロ・アルバム『リンゴ』収録。ジョージ・ハリスンとの共作。ナンバー1ヒットにもなった記念碑的な作品)
  11. Act Naturally(ビートルズ。アルバム『HELP!』収録)
  12. With a Little Help From My Friends〜Give Peace a Chance(メドレー。「With a Little・・・」は、アルバム『サージェント・ペパーズ・・・』収録。「Give Peace a Chance」は、ジョン・レノンの作品。もともとはシングル盤で発表。いまはジョン・レノンの各種ベスト盤にほぼ収録されている)



リンゴがドラムを叩きながら歌ったのは、予想どおり「Boys」と「I Wanna Be Your Man」の2曲。


第1期などは、「ハニー・ドント」などもドラムを叩きながら歌っていたが、だんだん「歌うドラマー、リンゴ!」のシーンは少なくなっている。そのぶん、フロントでの動きが洗練されてきた、とみるべきか。


個人的には、全曲叩きながら歌ってほしい、という気持ちはいつまでも消えない。サポート・ドラマーをつけず、全曲ドラムはリンゴだけで、演奏してほしい、という願いはかわらない。


リンゴがボーカルをとらないときは、ドラムはリンゴとグレッグ・ビソネットとのツイン・ドラムになる。グレッグ・ビソネットに敬意を評してだろう、ツイン・ドラムでも主体は彼であり、リンゴはサポート的な役割に徹している。しかし、リンゴとグレッグ・ビソネットのツイン・ドラムはキメるときはキメて、すごくリズムが心地いい。


汗がみなぎるドラマーも悪くないが、リンゴはときどき笑みを浮かべて優雅なドラミングを展開する。そして、ときどきはビシッとキメる。スネアとタムタムの連打がすばらしい。


そして、やっぱりグレッグ・ビソネットのドラミングは、はいるべきところにそつなくはいって、みごとというほかない。グッレグは、なんどもリンゴと顔をみあわせ、スティックでリンゴをさして、音楽で時代を変えたビートルズ、そのドラマーに最大の敬意をあらわす。


ほぼ2時間のステージ。各メンバーもすばらしかった。


ティーブ・ルカーサーのハイテク・ギター、このひとは天才ギタリストのひとりだろう。いつもリンゴを最大限に立ててくれる。


グレッグ・ローリーがキーボードを弾きながら歌うサンタナ・ナンバーにも酔った。ラテン系のリズムがコンサートに彩りをそえる。


ヘイミッシュ・スチュアートは、初期のポール・マッカートニー・バンドのメンバーでもあったので、ビートルズ・ファンにはなじみ深い。


ウォーレン・ハムのサックス、フルートも聴き惚れた。


でも、わたしは歌うリンゴを、ドラムを叩くリンゴを、双眼鏡で追い続けていた。


このひとと半世紀以上を過ごしてきたのだ、そんな感慨が胸にわく。そして、また会えた。彼は元気に最後はぴょんぴょん跳ねていた。演奏以上に、跳ねるリンゴの元気な姿を見ることができたのがいちばんうれしかったかもしれない。


お互いの年齢からいえば、いつこれが最後になるかもしれない。だから、目に焼きつけるようにリンゴの姿を追い続けた。


写真は、フラッシュはだめ。タブレットやI Padもだめ。スマホはOk!。なので、わたしよりも、Yさんが撮ってくれた。Yさんの許可を得て、何枚かアップしますが、かなり遠距離で大きなリンゴの映像は撮れませんでした。


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それからコンサートの充実したレポートを「エンビー」さんのブログがやっています。コンサートの全貌を詳しく知りたい方は、ぜひこちらを参照してください。写真も、大きく撮れています。
https://www.enjoybeatles.com/entry/ringostarr_live_fukuoka



Yさんと上野へ出て、ラーメン屋さんで食事。わたしだけ、ハイボールを飲む。


翌日、Yさんからメールが届いた。


そのなかに、


「あの、なんともいえない、『陽』の空気感。まさに、シンプル・イズ・ベストなあのドラム。世界の音楽を動かしたビートルズの、サウンドと精神の屋台骨が、いま、あんなふうに、明るく、キュートに弾けていることに、なんというのか、ものすごくハッピーな気分になれました。」


同感同感同感。わたしの感想は散らかってしまったが、このYさんの言葉に尽きているような気もする。