8月5日、水曜日。炎暑。
のんちさんが推奨していたグリンダ・チャータ監督の『カセットテープ・ダイアリーズ』を日本橋へ見にいく。
「のんちさんの『カセットテープ・ダイアリー』についてのブログ記事。(のんちさんの熱い記事を読んでください。もうみなさん既読かもしれませんが)
「BOSS」の叫びを、もう一度。 - nonchiのポケットに入れたい大切なもの
自分(わたし)の言葉を、信じて進む。(追記あり) - nonchiのポケットに入れたい大切なもの
<BOSSから受け取ったもの。 - nonchiのポケットに入れたい大切なもの
小5のわたしを、抱きしめたい。 - nonchiのポケットに入れたい大切なもの
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日本橋へいくのはひさしぶりなので、ついでにどこか散歩でもしたいところだけど、ものすごい暑さで、とても野外を継続的に歩く気にはなれない。
「TOHOシネマズ日本橋」のあるビルへはいって、ロビーにある椅子にすわって時間を待つ。
タブレットで、川上弘美著『どこから行っても遠い町』を読む。章ごとに、登場人物のなかのべつべつのひとにスポットがあたる構成の小説。
以前、つるひめさんが、最近はこういう構成が多い、といっていたけど、この小説もまさしくそう。
捨てたものではなかったです、あたしの人生──。男二人が奇妙な仲のよさで同居する魚屋の話、真夜中に差し向かいで紅茶をのむ主婦と姑、両親の不仲をみつめる小学生、そして裸足で男のもとへ駆けていった女……。それぞれの人生はゆるくつながり、わずかにかたちをかえながら、ふたたび続いていく。東京の小さな町を舞台に、平凡な日々の豊かさとあやうさを映し出す連作短篇小説。
(Amazonの解説から)
何冊か併読していたせいか、あまりこの作品に惹かれなかった。登場人物のひとりひとりに、関心を投影できないまま読了。
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午後1時10分から、映画『カセットテープ・ダイアリーズ』がはじまる。
誕生日が同じ、幼なじみの少年マットは恋人ができ、日々充実した青春を楽しんでいる。だがジャベドは孤独に鬱屈を募らせていた。保守的な町の人からの移民への偏見や、パキスタン家庭の伝統やルールから抜け出したくてたまらない彼。特に古い慣習を振りかざす父親マリクには内心強い反発を感じていた。
人種差別や経済問題、不安な政情に揺れる時代をジャベドなりに反映させた詩を書いているが、まだ本当の“自分の言葉”を見つけられずにいた。
だがそんなある日、モヤモヤをすべてぶっ飛ばしてくれる、ブルース・スプリングスティーンの音楽と衝撃的に出会い、彼の世界は180度変わり始めていく―。
(「映画.com」から)
https://eiga.com/movie/91395/
わたしは、きちんとブルース・スプリングスティーンの音楽を聴いていない。でも、映画はたのしめた。
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パキスタン系の高校生者ジャドは、作家を志望していた。でも、どこをどうしたらそれが実現できるのか、わからない。彼は、バンドをやっている友だちの曲に歌詞をつけたりしているが、進路は見えない。
彼の環境は、偏見に満ちていた。
父親からは古い価値観を押し付けられ、周囲からは人種差別を受ける。
ジャドの、そんな閉塞した毎日のなかで、彼のこころの琴線にふれ、心を解放してくれたのが、ブルース・スプリングスティーンの音楽と歌詞。
彼はブルースの音楽へのめりこんでいく。
全編にブルース・スプリングスティーンの力強い音楽が流れる。わたしはそれほど彼のファンではなかったけれど、映画のなかで流れるブルースの音楽をたのしんだ。
帰ったら、もう少しブルース・スプリングスティーンの音楽を聴いてみよう。
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映画が終わってから、銀座線で上野へ出る。
ひさしぶりに、立飲み「たきおか」へ寄ってみた。
ここは店内がひろいので、周囲に関心をもたない。みんな黙々と飲んでいて、雑踏のなかにひとりいるような感覚でお酒が飲める。
わたしは、たまにタブレットで本を読むことがあるけれど、たいていは、壁に貼ってあるメニューを眺め、次に食べるもをさがしている(笑)。
しかし、今まで見たことがないほど、広い店内が閑散としている。いつも満杯の奥のテーブルにも、ひとがいない。コロナの影響がこんなところにも。
カウンターで、生ビールと黒ホッピーを飲んで、アパートへ帰る。