かぶとむし日記

映画、音楽、本の感想を中心に日記を更新しています。

妻夫木聡・蒼井優主演『終戦ドラマ「しかたなかったと言うてはいかんのです」』〜フランキー堺主演『私は貝になりたい』(1958年版)。

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8月13日(金)、雨。1日外出せず。




夜10時からNHK終戦ドラマ『しかたなかったと言うてはいかんのです』を見る。


アメリカ人捕虜に生体解剖をおこなった九州大学生体解剖事件」をもとにして、フィクション化したドラマ。見はじめて、テレビの地上波ドラマが、生体解剖の事件を題材に扱うのはちょっとおどろいた。




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ja.wikipedia.org




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www.nhk.or.jp



“何もしなかった罪というのもあるのではないか…”


太平洋戦争末期に行われた「生体解剖」。命を救うはずの医師が犯した恐ろしい罪とその裏に隠された真相。死刑判決を受けて自分自身と向き合う医師と、その判決に異議を唱え、公正な裁きを求めて奔走する妻。苦悩の果てにたどりついたありのままの真実とはいったい何なのか?


人間の狂気と正気を描き出すヒューマンサスペンス!




NHKの番組サイトより)
https://www6.nhk.or.jp/nhkpr/post/original.html?i=29430


軍部から要請を受け、医師たちはアメリカ人捕虜を生きたまま解剖する。上司の石田教授(鶴見辰吾の命を受けて、鳥居(妻夫木聡は、そのことを知らないまま手術に立ちあう。


石田教授は、麻酔をかけて捕虜を眠らせ、生きたまま解剖をはじめる。鳥居は衝撃を受けるが、それを止めることはできなかった。


敗戦後、上司の石田(鶴見辰吾)が自決したので、鳥居は、事件の首謀者とされ、裁判で死刑の宣告を受ける。




天皇制軍隊では、上官の命令は天皇の命令に等しい。あのとき、鳥居はひとりで生体解剖に反対することができたか?


しかし、、、


鳥居は自分に問う。


「あのときは、しかたなかった」でいいのか?




妻の房子(蒼井優減刑のために奔走するが、死刑の宣告を甘んじて受けようとする鳥居は、減刑の嘆願書を書こうとしない‥‥。




期待どおり、鳥居を演じた妻夫木聡と妻の房子を演じた蒼井優がいいので、ドラマに惹きこまれた。






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私は貝になりたい』(TBS、1958年版)




小学生のころ、フランキー堺主演の『私は貝になりたい』(1958年)という戦犯の問題を扱ったドラマ(のちに映画化。主演は同じくフランキー堺)を見た。


棒に縛られた生きた捕虜を、二等兵・清水豊松(フランキー堺は、上官から銃剣で突くように命じられる。


上官の命令に逆らえるはずもない。豊松は、怯え、ひるみながら、捕虜に突進する。


その行為が原因となり、戦後、戦争犯罪人として逮捕され、アメリカの軍事裁判で死刑の宣告を受ける。



日本軍においては、上官の命令は絶対だった。二等兵の豊松が逆らうことはできない。


しかし、個人の意思を尊重するアメリカの軍事裁判では、それが通用しない。裁判では、上官の命令を拒否することができたはずだ、といわれる。


妻の減刑を求める訴えにもかかわらず、豊松(フランキー堺)は絞首刑になる。


このドラマ、フランキー堺の熱演が、大きな話題になった。


処刑台のうえにのぼるフランキー堺の、、、


「生まれ変わっても、もう人間にはなりたくない。今度生まれたら、そうだ、海の底にいる貝になりたい。海の底なら戦争もない、兵隊にもとられない」


という、心のつぶやきで終わる。


戦争の不条理を、小学生にもわかりやすく教えてくれた。





Paraviの解説ページには、次のような説明がある。

TBSに現存する最古の作品にして、テレビ史上最大の話題作になった不朽の名作。脚本は、橋本忍


https://www.paravi.jp/watch/11748


www.youtube.com
9分11秒のダイジェスト動画。よく編集されています。