この映画は、小さなころ見た記憶がある。1955年といえば、わたしは6歳のころだ。公開と同時に見たのか、少し遅れて見たのか、わからないが、たしかに熊谷の映画館で父と見ている。
そのころ、映画は、時代劇と喜劇が好きだった。
喜劇では、伴淳・アチャコのコンビや、由利徹と南利明、八波むと志の<脱線トリオ>が登場する映画など、よろこんで見にいっている。
『二等兵物語』は喜劇役者が笑わせながらも、軍隊というところの人間を命令でがんじがらめにする理不尽さも、描いていた。
テレビで見て記憶に焼きついているドラマ『私は貝になりたい』(フランキー堺主演)もそうだが、「軍隊ってなんていやなところだろう」と、おもった。
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「山田洋次監督が選ぶ100本の映画」を録画して、ひさしぶりに見たが、映画の内容はほとんど憶えていない。なのに、ちょっとだけしっかりしている伴淳と、頼りない花菱アチャコの印象だけは、かすかに記憶している。
映画は、おもしろいというより、父と見た記憶とも重なり、懐かしかった。