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5月31日㈬。
「TOHOシネマ池袋」へ、アダム・ドライバー主演の『65/シックスティ・ファイブ』)(以下『65』)を見にいく。
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主演のアダム・ドライバーは、ジム・ジャームッシュ監督の『パターソン』(2016年製作)を見て好きになった。
路線バスのドライバーで、家ではノートに詩を書いている静かな主人公と、その才能を信じている才気にあふれる若奥さんの1週間の日常を描いた秀作。
大きな事件は何も起こらない(いや、ワンちゃんのせいで貴重な詩を書き綴ったノートがひきちぎられてしまう!)。しかし、なんとも愛しい映画。アメリカ映画にもこんな優しい作品があるのか、と見直すくらいに。
今回の『65』は宇宙探査機が隕石に衝突し、6500万年前の地球に不時着してしまう、というSF冒険活劇。『パターソン』とはまるで正反対の映画。でも、アダム・ドライバーはかっこいい!
6500万年前というのは(映画によればだが)、隕石が地球に次々落下し、恐竜などの生物が絶滅したとされる時代。そんな時代に不時着して、未知の地球をさまよう。
実際なら気絶しそうだが、映画ならワクワクして見られる(笑)。
不時着した宇宙探査機は、木っ端微塵にくだけてしまう。乗組員はみんな死亡して、アダム・ドライバーと少女だけが生き残る。
地球に不時着したアダム・ドライバーは、生き残った少女とともに、脱出の手段を求めて、6500万年前の地球を探検する。
森の中を、恐竜や翼竜などに襲われながら歩くのは十分怖い(蛇のことを考えると、わたし自身は、森の中へはいれないが)。
そして、宇宙から隕石がどんどん地球に向かって降ってくる。アダム・ドライバーと少女は無事6500万年前の地球から脱出できるのか?
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わたしは恐竜を映画で見るのが好きなので、古典的な恐竜映画は、わりと見ている。
「ジュラシック・パーク」シリーズも見ているが、ひとつ不満なのは、舞台が、恐竜が住んでいた時代ではなく、現代の公園が舞台になっていること。要するにおおじかけであっても「恐竜公園」なかの話。
『65』は、地球の6500万年前にタイムスリップ。恐竜公園ではない。どっちでもいいようなものだけど、わたしは舞台背景にこだわる。地球全体を恐竜が闊歩するのと、「恐竜公園」の領域内では、空想の広がりがちがう。
70%満足のSF映画だった。
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映画館のロビーにもどって何気なく他にどんな映画をやっているのか見ていたら、先日Netflixで見た韓国映画『最後まで行く』の日本版リメイクが、もう少しではじまるところ。ちょうどいい。
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オリジナルの韓国映画は、悪人と悪人がぶつかりあうアクション映画。
ずっと前、ドロドロに男臭いリー・マーヴィンとアーネスト・ボーグナインのふたりが対決するロバート・アルドリッチ監督『北国の帝王』(1973年製作)という映画を見た。
映画『北国の帝王』。
『北国の帝王』は、舞台が、走る列車の中や屋根の上とほぼ限定されているので(それがいい!)、場所を次々変えて闘う『最後まで行く』とは味わいがちがうけれども、男同士の闘いのおもしろさを追求した作品として思い出した。
日本版『最後まで行く』(藤井道人監督)は、主演を岡田准一と綾野剛がやっている。ふたりとも見応えある演技派俳優。どうリメイクされているか、見ることにした。
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やっぱりふたりの濃厚な演技はおもしろかった。
岡田准一も綾野剛も、人物をデフォルメして演じているので、アクションにコメディ要素がたくさんはいっている。オリジナル版よりも、コメディの濃度が高い。
二転三転するストーリー。ラストはオリジナル版とはちがっているが、基本的な展開はあまり違わない。
男と男、悪人と悪人の対決……あとからあとから難題が岡田准一にふりかかる。韓国版をすでに見ていても、たのしめた。
見なくてもいいが、見れば見たでおもしろい(笑)ーーそういう映画だった。
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帰り池袋駅まで歩きながら途中の居酒屋「青龍」へ寄る。まだ空いていた。カウンターを陣どって、生ビール、ハイボール、黒ホッピーを飲む。