かぶとむし日記

映画、音楽、本の感想を中心に日記を更新しています。

軽井沢を舞台にジョンが登場するふしぎな小説〜「ウランバーナの森」

ウランバーナの森奥田英朗(おくだ・ひでお)著「ウランバーナの森」(講談社文庫)

時は、1976年……。

書き出しにいきなり軽井沢にいるジョン(レノン、という姓は作中登場しない)が出てきます。このジョンの人生背景は、ジョン・レノンそのものと重なります。

妻(けいこ)と小さなひとり息子(ジュニア)と、避暑をかねて軽井沢に滞在していますが、ジョンは便秘に苦しんでいます。妻のアドバイスで、近くの「アネモネ病院」へ通院しますが、便秘はいっこうになおりません。心因性によるもので、医者は「気にする必要はない」というのですが。

しかも、通院の帰り森の中を歩いていると、ジョンの過去の心象風景のなかに登場する人々が霧の中から次々やってきます。

彼らは生きているのか、死んでいるのか……【END】