サトシ、暮林さん、ヤマネさん、フトシとカナ、ミカコ、たちの半共同生活を描いた小説。角田光代は生活のディテールを描くのがうまいですね。なんでもないことを描いているようでいながら、彼女独特の感性があちこちに生きていて、それが作品の魅力になっているとおもいます。
彼らは、すべて海外旅行で知り合い、帰国すると暮林さんの家に1泊300円の低料金で、部屋を借ります。むかしの若者のような熱い仲間意識はなくて、共感と違和感が半ばいりまじりながらの「半共同生活」です。
現代の青年は群れない‥‥のかな?
それは、カッコいいとおもいます。どこか、彼らは醒めています。
そういう彼らにも、人間への好みは当然あって、同じ海外旅行から帰り組みの「王様」が加わったとき、彼らの「半共同生活」は、崩壊に向かいます。
こういう作者の感性で勝負する小説は、共感できるとおもしろいですね。