かぶとむし日記

映画、音楽、本の感想を中心に日記を更新しています。

梶田征則監督『ミラーを拭く男』(2004年)

定年を間近に控えたサラリーマンの皆川勤は、思わぬ交通事故を起こしてしまう。被害者は軽傷だったが、執拗に金銭を要求してくる。対応は妻の紀子に任せきりで、皆川は堅く口を閉ざしたままだ。そんな父に対して息子の芳郎と娘の真由美は、冷たい態度をとる。家族に黙って会社を辞めた皆川は、市内のカーブミラーを拭き始めた。そして家族から離れ、全国のカーブミラーを拭く旅に出る。家族の崩壊と再生の物語。


★(フリー百科事典「ウィキペディアWikipedia)」より)


以前、ringoさんがブログでご紹介くださった映画です。DVDをお借りしていながら、見るのが遅くなってしまいました。


家族の心配をよそに、主人公皆川勤(緒形拳)は、全国を旅して、黙々とカーブミラーを拭く。皆川は、ほとんどしゃべらない。皆川勤が家族のことをどう思っているのか、突然辞めてしまった仕事はどうするのか、なにも語らない。


ふしぎな感覚をもった作品です。緒形拳は、ただ自転車に乗って、来る日も来る日も道路にあるカーブミラーを拭く。その行為が繰返されていくうちに、カーブミラーを拭くという行為が、何か象徴性をおびてくる。


この映画から何をくみとればいいのだろう?


「定年後は何か目的をもって生きよう!」


なんてことでは、もちろんない(笑)。


じつに新鮮でした。寡黙な緒形拳が味わい深い。栗原小巻を久しぶりに見ました。年齢を重ねても、魅力的な女性はいいですね。


最後は、どうやら夫婦そろって、ミラーを拭く旅に出るようですが、それも多くを語らないので、彼らの心の奥はわからないまま終ります。刺激的な作品でした。


★【追記】:ringoさんの感想は、こちらです。