かぶとむし日記

映画、音楽、本の感想を中心に日記を更新しています。

イシュトヴァン・サボー監督『華麗なる恋の舞台で』(2004年)

華麗なる恋の舞台で デラックス版 [DVD]

1938年、人気舞台女優ジュリアは名実ともに充実していたが刺激を求め、親子ほども年の違うアメリカ人青年トムと恋に落ちた。が、それもつかの間、トムは若い女優と恋仲に……。大人の女として女優として仕掛けたジュリアの、スマートでウイットに富んだ舞台のクライマックス


★(「ギンレイ通信」Vol.99より)


自分の母ほどの年齢の女性に恋する。

そういう経験がないので、想像するしかありません(笑)。相手は、有名な舞台女優。子どものころ、きれいだなあ、と憧れていた女優がいま目の前にいる。自分は18歳くらい、そろそろ恋愛できるくらいの年齢になっている。相手の女優は40歳くらいだが、まだ華やかできれいである……とそんな状況です(笑)。

その舞台女優と恋仲になる。幸せというべきか?

しかし、恋愛関係になれば、大物舞台女優もひとりの女性。激しく嫉妬し、化粧っけのない表情で、目を剥いてののしる。青年の恋がさめるのは時間の問題。すぐに年齢相応な若い女優の卵に、こころが移って……のよくありそうな成り行き。



映画は舞台女優ジュリアを中心に進んでいきます*1

ジュリアを演じるはアネット・ベニング。華やかな舞台女優の表情と、若い青年に嫉妬する醜い姿を演じわけます。嫉妬であらわになる実年齢も、アネット・ベニングは隠しません。大変な気迫です。年齢を露わに表現するというのは、舞台にはない、映画女優ならではのものかもしれません。映画の大画面アップは、女性の年齢を裸にしてしまいます。それをこの映画は計算している……。


むかし見た映画『運命の女』でも、美しい人妻ダイアン・レインは年下の青年を愛し、彼との性愛に溺れますが、、、この映画でも、舞台女優は、青年の前に、理性のコントロールを見失ってしまいます。

しかし、舞台女優がどうあがいても、一度離れた青年のこころはもどってきません。憎いのは、青年が愛した若い女優。怪談ものにあるような設定ですね(笑)。


舞台女優が、青年のこころを奪った若い女優に、仕掛けた復讐は?

それがラストのクライマックスです。ただ舞台女優ですから、陰惨な復讐ではありません。華麗ないたづら、というようなラスト・シーンが待っています。

艶やかなり、アネット・ベニング!!

*1:ジュリア=名前がいいですね、ringoさん(笑)