かぶとむし日記

映画、音楽、本の感想を中心に日記を更新しています。

博の故郷と寅さんの実母〜「男はつらいよ」の素朴な疑問

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男はつらいよ 純情篇』、『続男はつらいよ』を見ると、さくらの夫・博は、北海道から東京へ上京して困っているところを、朝日印刷のタコ社長に救われて、そこで働くことになった、と説明されている。


しかし、その後のシリーズを見ていくと、博の両親は、備中高梁に住んでいて、その父や母の葬儀には、博も高梁まで出向いている。


博が高梁の故郷を家出して、北海道へ渡り、その後東京へ上京してきた、と考えればつじつまはあうことだが、あるいは最初の数作は、長いシリーズ化などは予定になかったので、博を北海道出の青年としておいたのだが、シリーズが長期化するにつれて、作品の必要上、変更することになったのかもしれない。


そんなことは、すでに愛好家のなかで説明がすんでいることかもしれないが、ぼくにとっては「あれっ?」とおもうような発見だった。



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それから、『続男がつらいよ』に登場する寅さんの実母(ミヤコ蝶々)は、この作品のためにはおもしろいキャラクターとして設定されているのかもしれないが、シリーズ長期化のなかで、寅さんが折にふれ思慕をよせて思い出すには、あまりに味気ない。


その後のシリーズで、寅さんは両親のことを尋ねられると、懐かしそうに「もう死んだよ」と答えている。


寅さんが、実母のことを自分の記憶のなかで修正している、と考えられなくもないが、シリーズ上の矛盾であることを承知のうえで、寅さんの実母はもっと早くに亡くなっていた・・・それは寅さんを愛した、優しい、母らしい母だった、という設定に、暗黙のうちに<置き換えられた>のだろうか。