寒い夜、友だちを送った帰り、謙作と直子はちょっと疲れて歩いているが、小説の筋とはあまり関係なく、こんな光景に出会う。
カタリコトリ冴えた音をさせながら、野菜を積んだ牛車(うしぐるま)がすれ違って行った。牛は垂れた首を大きく左右に振りながら鼻から出る太い気霜(きじも)を道へ撒き撒き通り過ぎた。
(後編第3の14)
一筆書きでサラッと書かれたような牛の動きだが、なんとも力強い。『暗夜行路』には、こういうなにげなく冴えた描写が、あちこちにある。
寒い夜、友だちを送った帰り、謙作と直子はちょっと疲れて歩いているが、小説の筋とはあまり関係なく、こんな光景に出会う。
カタリコトリ冴えた音をさせながら、野菜を積んだ牛車(うしぐるま)がすれ違って行った。牛は垂れた首を大きく左右に振りながら鼻から出る太い気霜(きじも)を道へ撒き撒き通り過ぎた。
(後編第3の14)
一筆書きでサラッと書かれたような牛の動きだが、なんとも力強い。『暗夜行路』には、こういうなにげなく冴えた描写が、あちこちにある。