- 作者: 藤沢周平
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 1987/10
- メディア: 文庫
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NHKの「ラジオ深夜便」の朗読がよくて、しかし毎回は聞くことができないので、本を読んでみた。
★
この小説のなかで、主人公の紙問屋・新兵衛は、3つの苦しみをかかえている。
1つは、美しい人妻おこうとの、世を忍ぶ恋の苦しみ。人妻との恋愛が、社会的な破滅につながる時代である。
1つは、紙問屋仲間の駆け引き、商売で窮地に立たされる苦しみ。
1つは、妻との冷えた関係、道楽息子の放蕩・・・家庭不和の苦しみ。
この3つの要素がからまりながら、新兵衛とおこうの恋愛を中心に物語りは進んでいく。
恋愛だけなら、話が甘くなる。商売の話ばかりでは硬すぎる。家庭の不和だけでも味気ない。
3つの要素が絶妙に相乗効果を出して、物語を盛り上げていく。新兵衛とおこうの恋愛は、どうなっていくのか?
小説のおもしろさを堪能しながら、読みきった。