かぶとむし日記

映画、音楽、本の感想を中心に日記を更新しています。

久松静児監督『警察日記』(1955年)


警察日記 [DVD]

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白黒画像の美しい、いい映画だった。


森繁久弥三國連太郎三島雅夫、織田政雄、伊藤雄之助など、懐かしい俳優たちが若い!


この映画を見ていると、暮らしていくのにも手いっぱの貧しい時代なのに、1950年代の日本人には、人への優しさ、思いやりがあったんだなあ、というような感慨をいだく。


「こういう時代はいいなあ」


という、古き日本への郷愁にかられてしまうが、当時の日本人が、実際にこれほど善意にあふれていたわけでもないのだろう。だからこの映画はつくられ、それを見にやってきた観客を感動させたのだろう。これは当時であってもメルヘンなのだ。


が、それがわかっていても『警察日記』に描かれる古き日本は、風景も人も夢のように美しくて、自然に涙がにじんでくる。