かぶとむし日記

映画、音楽、本の感想を中心に日記を更新しています。

是枝裕和監督『海街diary』を見る。


6月14日、「ウニクス南古谷」で是枝裕和監督の『海街diary』を見る。妻の運転で映画館へいったが、息子のNからも電話があっていっしょに見ることになる。



やっと、というか、とうとう見た。


吉田秋生(よしだ・あきみ)原作のコミック『海街diary』に感動。その後、『すずちゃんの鎌倉散歩』をハンドブックに、鎌倉を散策したりした。舞台になっている極楽寺も歩いた。



海街diary』を、是枝裕和監督が映画化する、と聞いたときはうれしかった。是枝裕和監督は、現代で特別に好きな映画監督のひとりだったので。公開が待ち遠しかった。





発表のときから配役のわりあてに違和感はなかったが、実際に映画を見て、いいキャスティングだなあ、とおもった。未知数だった、すずちゃん役の広瀬すずは、コミックから「すずちゃん」が飛び出てきたようにイメージがぴったりだったが、演技もきちんとしていて、他の三人姉妹と並んでも違和感がない。


美しい四姉妹の共演、というと谷崎潤一郎原作の『細雪』を思い出す。リアルタイムで見た1983年版『細雪』(市川崑監督)では、長女・鶴子(岸恵子)、次女・幸子(佐久間良子)、三女(吉永小百合)、四女・妙子(古手川祐子)。京都を舞台に、和服姿の4人がそろって歩くと、眩しいような美しさだった。


海街diary』の四姉妹も、負けていない。是枝監督は、現代の四姉妹を、鎌倉の四季の移り変わりのなかで、静かに丁寧に美しく撮る。見ていて心地いい。


家出した父の葬儀へ三姉妹がいき、腹違いの妹と会う、というしょっぱなは動きのある展開でスタートするけれど、その腹違いの妹が鎌倉へやってきて四姉妹で暮らすことになってからは、話の動きは少なくなる。


この四姉妹が1年間の時間の流れのなかで、より家族の絆を強めていく話なんだろう、とは見る前からわかっている。わたしの好きな是枝作品『歩いても 歩いても』(2008年)のように、途中でハッとするようなおどろきのシーンはない。すべてが予想通り。それが唯一のもの足りなさ、といえなくもない。


それでもわたしには十分おもしろかった。四人の女優の魅力が画面いっぱいにあふれていた。原作にある子どもマンガのムリな設定も、慎重にカットされていた。たとえば佳乃の恋人(原作では高校生で、とびっきりの二枚目)も、原作よりはふつうの若い男性で、見ても深い印象を残さない。わたしは、あの高校生は芝居ががかっていて原作の設定自体好きでなかったので、映画のようなサラっとした描き方でちょうどいいのでは、と感じた。



帰り、川越市駅の近くで、妻、N、と三人でカレーの昼飯。あとで運転のあるNは自粛して、わたしだけビールを飲む。


妻は、作品をよかったといいながら、ただ内容が平坦だった、という。しかし、Nは、是枝作品のなかでは、ストーリーがおもしろい方ではないかな、と違った意見をいった。



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