7月30日、新宿ピカデリーで11時20分からジャウム・コレット=セラ監督の『ロスト・バーケーション』を見る。この映画がおもしろいのは、ほとんどひとりの女性と鮫しか出てこないこと。女性と鮫だけで、全編を押し切ってしまう。
がんの闘病の結果母親が死ぬ。その心の傷を癒そうとナンシー(ブレイク・ライブリー)は、ひとり秘境の島へやってくる。輝くような美しい海で遊ぶのは、ナンシーとふたり組のサーファーだけ。
ナンシーは泳ぎ、波とたわむれるようにサーフィンで遊ぶ。しかし、その美しい海には鮫が・・・。
海面すれすれ、海中からのカメラの位置がこれから起こることを暗示して怖い。鮫はいきなりナンシーを襲い、太ももに深い傷を負わせるが、最近まで医学生だったナンシーは、自分の傷をありあわせのもので縫い、応急手当てをする。が、時間ととともに身体も意識も弱っていく。
わずかな突起した岩の上に、ナンシーは肢体をよこたわらせる。海岸はすぐそこにあるのに、海のなかに鮫がいて、海岸までたどりつけない。日に焼かれる。出血はなかなか止まらない。もう何時間かすれば満潮になって、この突起した岩もナンシーも、海のなかへ引き込まれるだろう。
絶対絶命の状況におかれた女性の心のなかの葛藤を描いて、見応えがある。鮫と女性のサスペンス映画といっても、鮫と闘うシーンはそれほど多くなく、ほとんどが女性の内面の描写。女性は、母親が最後までがんと闘ったことを思い出し、自分も最後まで諦めず、生きる道を探そうとする・・・。
登場人物は少ないし、舞台も99%が海。それでも2時間飽きさせない。昨日見た、豪華俳優を並べ、お金もかけた『シン・ゴジラ』より、わたしにはずっとおもしろかった。
『ロスト・バケーション』予告篇↓
https://www.youtube.com/watch?v=zOjn-RMe8M4
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