かぶとむし日記

映画、音楽、本の感想を中心に日記を更新しています。

三浦大輔監督『何者』を見る(10月23日)



10月23日、川越の「ウニクス南古谷」で、朝井リョウ原作、三浦大輔監督の『何者』を見る。予告編がちょっとおもしろそうだったのと、二階堂ふみ有村架純という若手女優に惹かれて映画館へ足を運ぶ。


就活をテーマにした青春映画。それぞれの人物を見る視点が厳しく、惹きこまれた。彼らは、就職活動を力をあわせてやっていこうと、ひと部屋に集まって情報を交換したりするが、内定の決まったひとりを嫉妬したり、互いに同じ会社を受けてライバル心むき出しで競いあったり、見かけほど内面は友好的ではない。そのことが次第に明らかになっていく。冷めた青春映画として、興味深く見た。


いま、若者たちの置かれた厳しい状況が切実に感じられる。企業の試験、面接、そこでの「1分間の自己アピール」など、そういうことをくぐりぬけなければ、自分の望む会社へ入れないとは、なんて厳しいことだろう。それをやりとげなければ、彼らはこの社会のなかで自分の場所を見出せないと思い込んでいる。いくつもの会社を受けて失敗する・・・そのたびに自分が否定されたような孤独な思い、苦い思いを味あわされる。


若者がのびのびとした心を奪われ、企業に洗脳されてしまうような恐ろしさを感じた。ろくに就活をしないで今日まで生きてきてしまったわたしとしては、厳しい映画だった。希望的にいえば、若いひとたちに、もっとのびのびとした社会人のスタートを切ってほしいのにな、と、いっしょに見た妻と話しながら映画館を出る。


『何者』予告編↓
https://www.youtube.com/watch?v=rJrEzLBI0R0