12月10日、月曜日。渋谷の「ユーロスペース」へ、塚本晋也監督の『斬、』を見にいく。
250年にわたって続いてきた平和が、開国か否かで大きく揺れ動いた江戸時代末期。江戸近郊の農村を舞台に、時代の波に翻弄される浪人の男と周囲の人々の姿を通し、生と死の問題に迫る。
(「映画.com」から)
https://eiga.com/movie/89402/
見たかったいちばんの動機は、池松壮亮と蒼井優というふたりの俳優が好きだから。このふたりが共演するのだから、とにかく見にいくことにきめていた。
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塚本晋也監督の作品では、前作『野火』(2015年)を見ている。
第二次世界大戦のフィリピン戦線。打ち捨てられた餓死者の屍体が続く森林。そのなかをひたすら歩く田村一等兵(塚本晋也)の姿は、戦争の勝敗などはもはや関係ない。ただ歩くことじたいが目的化している。食べるものがない。餓死者の肉を剥ぐ。そして戦友を殺害、「猿の肉」という名前で饗される人肉。
戦争とは、生きることとは・・・といったテーマを問う、激烈な映画だった。
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それに比べると、『斬、』はわたしにはよくわからない。必然性なく刀と刀がぶつかりあう。その「ちゃりん」という音がこの映画でいちばん表現したいテーマのようにもみえる。
闘いに必然性がみえないから「生と死の問題に迫る」という解説がおおげさにしかおもえない。ただ刀と刀をぶつからせるために、闘う。それが、なんのためなのかわたしにはわからない。
刀の映画なのだろう。
この映画では、池松壮亮も蒼井優も、わたしには魅力的に感じられなかった。
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寒いので、ラーメンとハイボールのお昼をすませて、アパートへ帰る。