5月1日、水曜日。ゴールデンウィークのさなか。
天気が不安定で、空模様があやしい。ビニール傘をもって出かける。
「コメダ珈琲」で、珈琲とモーニングの朝食。電子書籍で、藤沢周平『日暮れ竹河岸』を読む。
市井(しせい)のなかに生きる江戸の女性を、ひと筆描きのようにサラッと描いている。結末もないような短いものなので、余韻が残る。
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「イオンシネマ板橋」は、子供連れの客で混んでいたが、『あの日々の話』はマイナー系の映画なので、空席がめだった。
予備知識をあまりもたず見る。
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劇団「青年団」の演出部に所属し、自身も劇団「玉田企画」を主宰する玉田真也が、2016年に初演した同名舞台作品を自身の初監督作品として映画化。
舞台は深夜のカラオケボックス。とある大学のサークルで代表選挙がおこなわれ、サークルのメンバーたちがカラオケボックスで二次会に興じていた。会は和やかに進んでいたが、ひょんなことをきっかけに、ボックス内は裏切りとだまし合いが横行する不穏な場へと変貌する。
(「映画.com」より)
https://eiga.com/movie/89869/
監督も俳優も、わたしはほとんど知らない。かろうじて知っている村上虹郎と太賀は、ほんのちょっと顔を出すだけ。
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大学サークルの二次会。全員かなり酔っている。異常に、テンションが高い。
女性たちがカラオケルームの席をはずしているとき、飲み物が倒れてひとりの女性のかばんを濡らしてしまう。あわててかばんを拭くが、そのときに酔った勢いといたずら心から、かばんをあけてしまう。かばんのなかから、コンドームが出てくる。
女子学生のかばんから、コンドーム!
男たちの好奇心と欲望が首をもたげてくる。
「きょうは、やるぞ。お前は誰とどこでやる」っと、男たちは、一方的に盛り上がってはしゃぐが、思い通りにはいかない。
男性たち、女性たちの隠れた思惑が、だんだん露わになってくる。
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舞台劇がもとなので、ドラマが展開するのはカラオケ・ルームだけ。そこで、男女それぞれがお互いの感情をぶつけていく、密室劇だ。
以前見た、三浦大輔監督、池松壮亮、門脇麦主演の『愛の渦』(2014年)が思い出される。
『愛の渦』は、あるマンションへ「異性」をもとめて男女が集まる。「乱交」ということになるけれど、「性の狂宴」をもとめてあつまるのではなく、性格が内気で、異性に臆病で近づけない男女が、応募に応えておずおず集まってくる。
もともとが舞台劇なので、性描写はそれほど生々しくない。マンション一室に集まった男女の欲望がだんだんほぐされて、朝までには解放されていく。その経過がおもしろい。これも、密室劇だった。
『あの日々の話』も、構造は似ている。しかし、『愛の渦』のような性願望の必死さはなく、どこか滑稽でばかばかしい。彼らは、若く異性に飢えているけれども、とくべつ異性に対して臆病なわけではない。
要するに、コピーにあるように「珠玉の与太話」。でも、それも悪くない。
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帰り、近くのジムで「お風呂」にはいり、インド・カレーのお店で、お昼を食べる。