かぶとむし日記

映画、音楽、本の感想を中心に日記を更新しています。

今泉力哉監督『猫は逃げた』を見る(3月22日)。

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3月22日(火)、雨。


川越から池袋へ。


サンシャイン通りの「池袋HUEMAXシネマズ」へ、今泉力哉監督(脚本:城定秀夫=じょうじょう・ひでお)の『猫は逃げた』を見にいく。


時間があったので、近くの「ルノアール」で、コーヒーとトーストのモーニングセット。


松村雄策著『僕を作った66枚のレコード』を読む。


「チープ・トリック・アット・武道館」の項にこんな文章がある。

七〇年代の日本の洋楽ロック・ファンには、女子高生がいっぱいいた。今では信じられないかも知れないけれど、女子中学生も含めてそういった女の子達が洋楽ロックを支えていたところもあったなと今では思う。


さすが東京都に住んでいた松村さんだ。埼玉の田舎に住んでいたわたしの周囲には、洋楽ロックのファンだった女子中学生も女子高生もいなかった。でも、深夜ラジオを聴いていると、女子高生が熱心にメッセージやリクエストを送っていた。


そうした若い女性たちが、きっとチープ・トリックやクィーンを、世界に先駆けて、日本からスターダムへ押し上げていったのだろう。




「愛がなんだ」「街の上で」の今泉力哉が監督、「性の劇薬」「アルプススタンドのはしの方」の城定秀夫が脚本を務め、飼い猫をどちらが引き取るかで揉める離婚直前の夫婦とそれぞれの恋人、不器用な4人の男女を描いたラブコメディ。




(「映画.com」から)
https://eiga.com/movie/95247/



www.youtube.com






いきなり夫婦(亜子・広重)の離婚話からはじまる。そういえば、今泉力哉監督の『街の上で』も、恋人同士の別れ話からはじまったっけ。


亜子(山本奈衣瑠)と広重(毎熊克哉)の間で、離婚することはほぼ決定していたが、飼い猫の「カンタ」を引き取るのがどっちか、ということでもめていた。ふたりとも、カンタを手放したくない、という。


「カンタ大好き」では、この夫婦は一致している。


妻・亜子は、新進の漫画家で、担当編集者の俊也(井之脇海と浮気をしている。


夫・広重は、芸能雑誌社のようなところに勤めているが、社内の真実子(手島実優)と関係を深めている。


それぞれ浮気というより、離婚が成立したら一緒になろうと考えている。


しかし、ある日「カンタ」がいなくなったことで、離婚の相談は延期になってしまう。



シンプルなストーリーだけれど、今泉・城定コラボの味わいは、前作『愛なのに』に共通している。


「R15+指定のラブストーリー映画」なので、多少のベッド・シーンはあるが、それほどしつこくない。でも、油断していると一瞬ドキッとする(笑)。


猫ちゃんの「カンタ」をめぐって4人は小競り合いを続け、ついに四角関係が発覚。


4人は一同に会して(ソファーに並んで)、それぞれの言い分を述べあうが、感情がこんがらかって、話がまとまらない。



この可笑しさは、『街の上で』の、路上で会話が行き違うシーンとにている。わたしはクスクス笑った。本人たちがまじめであればあるほど、ハタから見ている方は可笑しい、というあれ。


猫ちゃんのゆったりした動作が、この映画のテンポだ。


今泉力哉、城定秀夫・・・このふたりの監督、これからも目が離せない。