かぶとむし日記

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佐古忠彦監督『カメジロー 不屈の生涯』を見る(9月7日)。

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演説するカメジロー 。




9月7日、土曜日。炎暑。


渋谷のユーロスペースへ、佐古忠彦監督の『カメジロー 不屈の生涯』を見にいく。


映画は10時20分から。少し早く着いたので、近くの喫茶店へ寄り、コーヒーを飲みながら、白石一文著『火口のふたり』電子書籍で読む。


読後の印象は、先日見た映画と変わらない。むしろ、映画は柄本佑(えもと・たすく)と瀧内公美(たきうち・くみ)のふたりの俳優が主人公の男女に肉体を与えて、小説に厚みを加えているような気がした。


小説の映画化で成功した一例では。





『米国が最も恐れた男 カメジロー 不屈の生涯』TBSで好評を博した番組の、映画化第二弾の予告映像が解禁!!【TBS】


『カメジロー 不屈の生涯』は、同じ佐古忠彦監督の『米軍(アメリカ)が最も恐れた男 その名は、カメジロー』の続編。


沖縄のために、米軍の圧政と激しく闘った瀬長亀次郎の不屈の闘いを、カメジロー が残した230冊の日記とカメジロー を知るひとたちの証言・インタビューから、浮き彫りにしていく。


映画を監督したのはTBSアナウンサーの佐古忠彦。彼はwebサイト「現代ビジネス」で、カメジロー をこう紹介している。

第二次大戦後、米軍統治下の沖縄で唯一人"弾圧"を恐れず米軍にNOと叫んだ日本人がいた。「不屈」の精神で立ち向かった沖縄のヒーロー。民衆の前に立ち、演説会を開けば毎回何万人も集め、人々を熱狂させた。




講談社/現代ビジネス)
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/52613


メジロー は、アメリカ政府という強大な権力に対しては、一歩も屈しない。


しかし、民衆には親しまれた。尊大なところがまるでなかった。近所にいるおじさんのような感じだった。


元知事の稲嶺惠一は、高校生のころカメジロー の演説の追いかけをやっていた。

演説の日は、早い時間から、むしろをもって、仲間と一番前に席を取って聞いていましたね。何時間も前から座り込んでね。強烈にアメリカをたたくでしょ、気持ちを代弁していってくれるし、為政者をやっつけてくれる。若い青年にとっては憧れの人でした。非常に痛快で、演説が終ると、みんなニコニコして帰っていきましたよ。」




(同サイト)


以上は、「現代ビジネス/講談社」からの引用でした。


映像の内容を言葉で説明するよりも、佐古忠彦監督自身がカメジロー を説明している文章のほうがわかりやすいので、ちょっと楽をしました(笑)。



メジロー は、沖縄の民謡にも登場する。

♪うんじゅが情きさ 命どぅ宝さ
我した思いゆ 届きてぃたぼり
それは、昔、昔、その昔、
えらいえらい人がいて、
島のため、人のため、尽くした
あなたならどうする
海の向こう、おしえてよ亀次郎


映画のクライマックスは、衆議院議員となったカメジロー が国会で、佐藤栄作首相を相手に、沖縄の平和について語るシーンだろう。


言葉の詳細な内容は再現できないけれど、


沖縄が日本に返還されても、基地がそのまま残り、アメリカ兵がいるかぎり沖縄に平和はない。むしろ基地の固定化になってしまうだろう、と激しく食い下がる。


現状をおもえば、瀬長亀次郎のこの指摘は、現実にいまの基地問題につながっている。


泣かされるような映画ではないはずなのに、なんども胸がつまった。



映画が終わって、お昼の店を探す。炎天下を長く歩く気はしない。


結局、よく行くセンター街の「テング酒場」で、ランチの麻婆豆腐定食とホッピー。


暑い。川越へ向かったが、まっすぐ帰る気がしない。東上線大山駅で下車し、立飲み「晩杯屋」へ寄り、ひとり二次会をたのしむ(笑)。