11月5日、火曜日。
渋谷、宮益坂下交差点の角にある「渋谷 Toei」へ、平山秀幸監督の『閉鎖病棟 それぞれの朝』を見にいく。
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長野県の、精神科病院が舞台。
母親や妻を殺した罪で死刑執行されたが、絞首刑の失敗で生き延びた「秀丸」を、笑福亭鶴瓶。
幻聴が聞こえて、ときどき暴れることがある、と妹夫婦から強制的に入院をさせられた元サラリーマンの「チューさん」を、綾野剛。
義父から性的暴行を受け、それを知った実母からも憎まれ入院した少女「由紀」を、小松菜奈。
この3人を中心に描かれる精神科病院のなかのものがたり。
設定・舞台をみると暗い映画のようにおもえてしまうけれど、秀丸もチューさんも人間性の底にあるものは、あたたかい。
義父の性暴力、方向ちがいの実母の嫉妬で、からだもこころも壊れかけている少女・友紀は、この病院へ入院して、秀丸とチューさんと接するうちに、こころを少しずつ回復させていく。
作品の底にある感情は、あたたかくてやさしい。映画は、厳しい事件が連続するけれども、最後は希望が暗示されている。
笑福亭鶴瓶、綾野剛という演技派の俳優にまじって、小松菜奈がよかった。
小松菜奈は、これまで、、、
三木孝治監督『坂道のアポロン』(2018年)。
永井聡監督『恋は雨上がりのように』(2018年)。
塩田明彦監督『さよならくちびる』(2019年)。
を見たけれど、1作ごとによくなっていく。
今回の『閉鎖病棟』は、壊れかけたこころを回復させていくむずかしい少女役を演じて、また一段女優としての魅力を増したような気がする。
予告編では、いいのかどうか微妙な作品だったが、3人の俳優に惹かれて見た。結果、見てよかった、とおもいながら映画館を出る。
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帰り、ひさしぶりにセンター街の「テング酒場」へ寄って、ホッピーとから揚げ定食でお昼を食べる。