かぶとむし日記

映画、音楽、本の感想を中心に日記を更新しています。

原田マハ著『キネマの神様』は、山田洋次監督でどんな映画になるのだろう?(4月13日)。




4月13日、月曜日。雨と風。


新型コロナウィルスで自宅を出ないよう要請が出ていたが、この日、東京に用があって、ひさしぶりに出かける。


雨にくわえて、強い風。天気が最悪だった。


電車はすいていたので、行き帰りとも隣りの客とある程度の間隔をもってすわれた。


往復の車内では、Kindle版で、読みかけていた原田マハ著『キネマの神様』の続きを読む。




先日新型コロナウィルスで亡くなられた志村けんさんは、わたしと同世代。志村さんも日本武道館ビートルズの公演を見ている。わたしもコロナに感染すれば、死ぬかもしれない高齢者になったのだ、とおもう。


その志村けんさんが、山田洋次監督『キネマの神様』に、初主演をする予定だった。映画は一部撮影にはいっていたが、志村さんの出演場面をこれから撮影、というときに、コロナに感染してしまった。志村さんは、自分の感染を知り、亡くなられる前に、辞退されている。


映画のあらすじを「映画.com」から引用すると、、、

家族にも見放されたダメ親父を主人公に、時代を超えて繰り広げられる愛と友情の物語を描く。


ギャンブル好きで妻の淑子をはじめ家族にも見放されたダメ親父のゴウは、かつては映画の撮影所で働き、何よりも映画を愛していた。若き日のゴウは、いまは名画座の館主をしているテラシンとともに、時代を代表する名監督やスター俳優に囲まれながら夢を追いかけていた。しかし、ゴウとテラシンがともに食堂の娘に恋心を抱いたことから、運命の歯車が狂いはじめ……。


このゴウの「現在」を志村ケンさんが演じるはずだった。「若き日」を演じるのは、菅田将暉(すだ・まさき)。


前述のように、撮影はすでにスタートしているので、これからゴウには、志村さんの代役をたてていくのだろうけれど、新型コロナウィルスで、今後の撮影の進行もままならない様子。


で、ひとあし早く原作を読んでみた。



読んだ印象でいうと、映画は、原作とはずいぶん違うものになりそうだ。


まずおどろいたのは、原作には、菅田将暉演じる若き日のゴウが登場しない。


引用したあらすじの、、、

ギャンブル好きで妻の淑子をはじめ家族にも見放されたダメ親父のゴウは、かつては映画の撮影所で働き、何よりも映画を愛していた。若き日のゴウは、いまは名画座の館主をしているテラシンとともに、時代を代表する名監督やスター俳優に囲まれながら夢を追いかけていた。しかし、ゴウとテラシンがともに食堂の娘に恋心を抱いたことから、運命の歯車が狂いはじめ……。


ここは、まったく原作にはない。人物設定以外は、別の物語のようだ。


原作では、主人公・ゴウも、名画座の館主・テラシンも、撮影所で働いていたことはなく、純粋に映画を愛するいっぱんのひとたち、として描かれている。



あらすじの後半を公式サイトでは、

若き日のゴウが信じ続けた”映画の神様”が、時を超えてひとつの家族に奇跡をもたらすーー


と、解説している。


これを読むと、主人公・ゴウの映画に対する愛情が、彼の人生に「奇跡」を起こしていくのは、原作も映画も同じようだ。


ただ、わたしの読後感でいえば、原作はかなりセンチメンタルで、都合のいい話の展開になっている。わたしは小説の運び方として、好感をもてなかった。


山田洋次監督は、原作の、後半の展開をどう映画化するのだろう、とおもいながら読み終えた。