かぶとむし日記

映画、音楽、本の感想を中心に日記を更新しています。

水上公園の散歩と、島田荘司著『漱石と倫敦(ロンドン)ミイラ殺人事件』(4月12日)。

漱石と倫敦ミイラ殺人事件 (光文社文庫)

漱石と倫敦ミイラ殺人事件 (光文社文庫)




4月12日、日曜日。


午前、クルマで20分ほどのところにある水上公園へいく。家にばかりいると運動不足になるので、散歩するのが目的。


お店などは閉店しているけれど、公園じたいは閉まっていない。広い公園なので、ひととひとが近くで接触する心配もない。


散歩コースを50分ほど歩く。




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コースがそろそろ終わりになるころ、八重桜が咲いていて、目をたのしませてくれた。


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午後、ソファに寝ころんで、島田荘司著『漱石と倫敦ミイラ殺人事件』Kindleで読む。1984年に刊行されたミステリー小説。当時読んでおもしろかったが、今回電子書籍にあるのを発見したので、ひさしぶりに読んでみる。


夏目漱石(当時は、夏目金之助がロンドンへ留学したのは、1900年(明治33年)から1年半ほど。むやみやたらと本を買うので国から送金されるお金ではたりず、生活をだいぶ切り詰めて暮らしていたようだ。


食事代も切り詰めて、ビスケットを公園の水で流し込んで腹を満たしたこともある、と漱石は書いている。


貧乏生活がたたってか、「夏目が神経衰弱になっている」、という報告が、留学を命じた文部省へ届いたりしている。


この小説では、漱石が借りている下宿に幽霊が出る、ということで、ロンドンで有名なシャーロック・ホームズに相談しにいくところから、ふたりの人気キャラクターが対面する。


章ごとに漱石ワトスン博士の文章がいれかわる。


ある章は、漱石的文体で彼の「留学日記」が綴られ、次の章には、わたしたちがジャーロック・ホームズ・シリーズでなじんだワトスン博士の事件報告が出てくる。


ホームズは、麻薬を常用していた、とすでに発表されているワトスン博士の報告にもあるけれど、はじめ漱石は、言動のおかしなホームズと対面しておどろく。


そして、幽霊のことをホームズに相談しにきたことを後悔する。


しかしホームズ・ファンの読者には、彼の奇妙な行動は、いかにもホームズらしくもあって、読みながらクスクス笑ってしまう。


「ミイラ事件」が、漱石とワトスン博士の、ふたつの視点から語られる、というミステリーの構成になっている。


わたしは、扱われる事件以上に、漱石ホームズワトスンの3人の出会いと別れがおもしろかった。