アストリッド・キルヒヘル。
つるひめさんからの情報で、ビートルズのハンブルグ時代に多くの影響を与えたことで知られるドイツ人女性・アストリッド・キルヒヘル(キルヒャーとも表記)が亡くなったことを知りました。81歳(5月20日で、82歳)。
以下、まだビートルズがデビューする前の話です(アストリッドがビートルズと会ったのは1960年)。
アストリッドは、当時ビートルズのベーシストだったスチュワート・サトクリフと激しい恋愛をしますが、ジョン・レノンもジョージ・ハリスンも彼女を好きだったとも、いわれています(ウワサの範囲を出ません、笑)。
スチュアート(左)とアストリッド。
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アストリッドは、1938年5月20日生まれ。
ジョン・レノン(1940年10月8日生まれ)より2つ上。ジョージ・ハリスン(1943年2月25日生まれ)よりは、4つ上。
デビュー前のジョージ(左)とジョン(アストリッド撮影)。
実際のところ、ジョンにとっては、ほんとうに恋愛の対象であった可能性がありますが、ジョージには、年上の憧れの女性、という感じだったでしょうか。
とにかく、アストリッドが選んだのは、スチュワート・サトクリフ。
スチュアートは、ビートルズをやめてハンブルグに残ることにしたのですが、ふたりの恋愛は、1962年、スチュアートの急死で悲しい結末を迎えます(死因は、脳腫瘍とかいわれています)。
スチュアートの死後、彼のアトリエに呆然とたたずむジョンとジョージ(アストリッド撮影)
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アストリッドは、芸術的な感性に恵まれた知的な女性で、船員相手の居酒屋で荒削りな演奏をしているビートルズのなかに、才能の可能性を見出し、そこからメンバーとの交流がはじまります。その後のビートルズにいくつかの影響を与えますが、なかでも有名なのが、ビートルズ初期のシンボルになったマッシュルーム・カット。
彼女が恋人のスチュアートをそのヘア・スタイルに変えると、はじめは笑っていたジョン、ジョージ、ポールも、同じヘア・スタイルにするよう彼女に頼んできます。
当時のビートルズの写真も、アストリッドが撮っていますが、無名時代のビートルズの貴重な記録になっています。
デビュー前のビートルズ。左からピート・ベスト、ジョージ・ハリスン、ジョン・レノン、ポール・マッカートニー、スチュアート・サトクリフ(アストリッド撮影)。
アストリッドについては、小松成美さんがロング・インタビューして、彼女の伝記『ビートルズが愛した女ーーアストリッド・Kの存在』を刊行しています。
ビートルズが有名になったあと、アストリッドがどのように彼らと交流し、距離を保っていったか、その後の半生まで詳しく書かれています。
ビートルズが愛した女―アストリット・Kの存在 (幻冬舎文庫)
- 作者:小松 成美
- メディア: 文庫
アストリッドとスチュアート・サトクリフの恋愛を軸に、デビュー前のビートルズを描いたのが、イアン・ソフトリー監督の映画『バックビート』。
わたしは最近この映画を見直して、まだ何者でもない若き日のビートルズの焦燥感があざやかに描かれていて、心を撃たれました。
その他、アストリッド・キルヒヘアは、ビートルズの伝記本には必ず登場する女性です。
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以前、のんちさんがブログに「ミステリアス・ガールに憧れるが・・・」、というおもしろい記事を載せました。
その記事に、わたしは、
のんちさん、「ミステリアス・ガール」で、俳優・ミュージシャン、コメディアンなど一般的に知られているひとのなかで誰を思い浮かべますか? 文字からくるイーメジではわかるんだけど、なかなか実際の顔や姿が思い浮かびません。
とコメントしました。
のんちさん、一般的に日本で知られている女性とはちがいますが、いまわたしは、全身黒い衣装で身を包み、実存主義や芸術について語るアストリッド・キルヒヘルに「ミステリアス・ガール」の答えをみつけましたが、どうでしょうか(笑)。
アストリッド・キルヒヘルという、ビートルズの歴史のなかに深い足跡を残したひとがまたひとり亡くなってしまい、なんともさびしい感じがしています。