かぶとむし日記

映画、音楽、本の感想を中心に日記を更新しています。

吉野竜平監督『スプリング、ハズ、カム』を見る。

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5月17日、日曜日。


「K'Sデンキ」から、予約してあったipadからつないで動画をテレビで見るコードが届いたという連絡あり、とりにいく。



夜、Amazonプライムの映画を、はじめてテレビにつないで見た。


作品は、吉野竜平監督『スプリング、ハズ、カム』(2015年製作)。主演は、柳家喬太郎石井杏奈





映画「スプリング、ハズ、カム」予告編



春から東京の大学へ通う璃子は、ひとり暮らしをはじめる部屋を探すために父と2人で街を歩く。街で出会う個性的な人びととの出会いから、父の胸には亡き妻の思い出、そして娘への思いが去来し、璃子ぶっきらぼうながら人情味あふれる父の愛を知る。




(「映画.com」から)
https://eiga.com/movie/83152/


広島から上京した父(柳家喬太郎)と娘(石井杏奈)は、娘が春から暮らすためのアパートを探しに、深夜バスで上京してくる。


父の生業(なりわい)は、広島のタクシー運転手。生活は裕福ではなかった。深夜バスはきつかったが、交通手段としてはそれがいちばん安かった。


母は娘を産んですぐに亡くなり、それからずっと父と娘のふたりで暮らしてきた。春になると、娘は東京、父は広島、別々に生活しなければならない。


不器用な父が、ひとりで大丈夫だろうか。娘はそれを案じている。


娘が通うことになったのは、成城大学。そこに近い世田谷区の祖師谷大蔵の不動産屋さんへはいる。父は、アパートの間取りや日当たりだけでなく、両隣りに住む住民はどんなひとか、など気になる。春から娘をひとり暮らしさせる父の不安がのぞく。


不動産屋さんから、隣りのひとも成城大学へ通う女子学生です、と教えてもらい、アパートを決める。


アパートの大家さんの案内で、祖師谷大蔵の町を歩く。広い公園もある。のんびりしたとてもいいところで、父も娘もうれしい。


ふたりは、いっしょにいるころ、もっといろいろ話しておけばよかったな、とおもう。春になれば、それぞれの生活がはじまる。いっしょにいられる時間はずっと少なくなってしまう。


お互いに、あふれる感情があるのに、どうでもいいような話をしている。


それでも、ふたりのこころは満たされている。



話の展開は、アパートを決め、祖師谷大蔵の町、商店街を歩くだけ。スジらしいスジはない。行間をたのしむ作品。


はじめ映画初出演の柳家喬太郎の演技がちょっとやりすぎかな、という気がしたが、途中からそれほど気にならなくなった。


娘役を演じた石井杏奈は、春から東京でひとり暮らしする期待と不安をかかえた18歳の少女らしい初々しさが可愛い。


やさしい少女なんだろうな、とおもう。ひとりになる父を心配しているのが寡黙な演技でもわかる。


石井杏奈の出ている映画を見るのは今回が最初ではないけれど、印象が薄かった。これから注目して見よう、とおもった。