かぶとむし日記

映画、音楽、本の感想を中心に日記を更新しています。

足立紳監督の『喜劇 愛妻物語』を見る(9月30日)。

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(前のブログの記事と日付が前後します。)



9月30日、水曜日。快晴、暑い。


すっかり涼しくなったいまからみると(10月12日、記)、まだまだ9月30日は暑かった。ここへきて、一気に季節が秋になった。


アパートから歩いていける「イオンシネマ板橋」へ、足立紳(あだち・しん)監督の『喜劇 愛妻物語』を見にいく。


わたしは、濱田岳という俳優がどことなく好きで、彼が主演なら見てみようとおもった。






映画『喜劇 愛妻物語』 本予告



「百円の恋」の脚本家・足立紳が2016年に発表した自伝的小説「乳房に蚊」を、自ら脚本・監督を務めて映画化。


売れない脚本家・豪太は、妻チカや娘アキと3人で暮らしている。倦怠期でセックスレスに悩む豪太はチカの機嫌を取ろうとするが、チカはろくな稼ぎのない夫に冷たい。そんなある日、豪太のもとに「ものすごい速さでうどんを打つ女子高生」の物語を脚本にするという話が舞い込む。豪太はこの企画を実現させるため、そしてあわよくば夫婦仲を取り戻すため、チカを説得して家族で香川県へ取材旅行に行くことに。しかし、取材対象の女子高生はすでに映画化が決まっていることが判明。出発早々、旅の目的を失ってしまう3人だったが……。




(「映画.com」から。一部をわたしが改行しています。)
https://eiga.com/movie/91555/


売れない脚本家を演じる濱田岳は、予想通りなさけなくって、笑わせてもらった。


売れてなんぼの世界。収入のほとんどない夫に、妻は冷たい。冷たいだけでなく、からだに触れるのもいやがる。


脚本家の豪太は、やることなすことうまくいかない。


妻のチカに触れることができないので、欲望がたまりにたまっている。しかし、お金がないから、風俗へいくこともできない。チカの機嫌をとって、妻に相手をしてもらうしかないが、受付けてもらえない。


夫をののしる恐妻チカを、水川あさみ。もう夫にはなんの魅力も感じないというように、平気ですごい寝相で寝ていたりする(笑)。


水川あさみの映画ってあまり見たことがないので、ふつうに美人女優とおもっていたけれど、まあ一見色気もなにもない鬼妻を演じて、迫力がある。


濱田岳が演じるなさけない豪太を見ていると、むかし見た、つげ義春原作、竹中直人監督の『無能の人(1991年)が連想される。


自分では才能が枯渇したとおもっている漫画家が、ほかの収入源をさがして、河原で石を売ったりしている。その河原で拾った石なので、売れるわけもない(笑)。


無能の人』は、漫画家、妻、その子(男の子)のテッテーテキに貧しい物語だったが、『喜劇 愛妻物語』とちがうのは、漫画家の奥さんは、鬼妻ではなかった。


映画『喜劇 愛妻物語』の特色は、主人公の豪太よりも、その妻・チカの恐妻パワーにあるのかもしれないが、濱田岳のなさけなさが絶品で、バランスのとれたたのしい家族の物語になっている。


無能の人』は、原作者・つげ義春自身がモデルだった。


映画『喜劇 愛妻物語』も、脚本・監督の足立紳ご夫妻がモデルだという。


どちらも、壮絶な家族の物語(笑)。


わたしは、なさけない男の話が好きなのか、と自身を省みる。ふがいない自分が、同士を見て慰められるからだろうか?



帰りは、最近よくいくモンゴル料理屋(安い!)さん「あむ亭」のランチ。


ここには黒ホッピーがあるので、まずはこれを飲みながら、その日のメニューを選ぶ。3回に1回はマーボー豆腐定食で、辛くてうまい。辛いからうまいのかもしれない。味オンチだから、味覚の判断には自信がない(笑)。


この日も、マーボー豆腐定食で飲みながら、城山三郎の『落日燃ゆ』Kindle版)を読む。