かぶとむし日記

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岨手由貴子監督『あのこは貴族』をみる(2月26日)。

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『あのこは貴族』。水原希子(左)と門脇麦




2月26日(日)、曇り。


イオンシネマ板橋」で、岨手由貴子(そで・ゆきこ)監督門脇麦水原希子主演『あのこは貴族』をみる。






映画『あのこは貴族』予告編





都会に生まれ、箱入り娘として育てられた20代後半の華子。「結婚=幸せ」と信じて疑わない彼女は、結婚を考えていた恋人に振られ、初めて人生の岐路に立たされる。


(略)


一方、富山から上京し東京で働く美紀は、恋人もおらず仕事にやりがいもなく、都会にしがみつく意味を見いだせずにいた。そんな2人の人生が交錯したことで、それぞれに思いも寄らない世界がひらけていく。




(「映画.com」より)
https://eiga.com/movie/91088/


上流階級の娘で、家柄のふさわしい男性をさがして、お見合いを繰り返す華子。


地方から、志望校の慶応義塾大学を受験して、みごと合格したものの学費が続かず、中退して都会の片隅で生きていく美紀。


このふたりの出会いと再生の物語。


上流階級の、華子のお見合いが、高級そうなホテルや料理屋さんで繰り返されるが、きっとこのときの作法・所作におかしなところがないか、監督やスタッフは苦心したにちがいない、とおもう。ひとつひとつていねいに描かれていた。


しかし、この階級に縁もないし、興味もないわたしには、どうでもよかった。気どった会食のシーンは、退屈だった(笑)。


大学を合格したのに学費が続かず、美紀が、憧れていたのとはちがう都会の生活に生きることになるところも、上流階級のお見合いよりはマシだけど、よくある話だ、と、それほど興味はわかなかった。


でも、華子役の門脇麦と美紀役の水原希子はよかった。つるひめさんが、最近の映画は俳優が自然な演技をするのがうまい、というような意味のことをいっていたけど、この映画のふたりもそうだった。



ふたりが出会ってから、後半はおもしろくなった。


華子と美紀は、互いの不足を補填しあうようにして、息苦しい都会のなかに、自分の生きていく場所を発見していく。それが類型的でなく、繊細な感覚で自然に展開していく。この映画は、そこにいちばん惹かれた。


門脇麦が演技派だというのは、いままでの映画から知っていたけど、水原希子のことはほとんど知らなかった。その水原希子がよかった。ノーメイク(?)でいるとき、さびしそうな、たよりなさそうな、いい表情をする。


それと、門脇麦の友達として、わたしの好きな石橋静河が出ていた。出演シーンが意外と多い。ヴァイオリンを弾く表情が美しくてうっとりする(笑)。最後のサングラス姿も似合う。


岨手由貴子(そで・ゆきこ)は、1983年生まれの若い女性監督。等身大の女性のこころの動きをとらえるのがうまい監督だな、とおもった。






映画『あのこは貴族』メイキング映像
『あのこは貴族』のメイキング映像。たのしそうなのでアップします。後半は、上のと同じ予告編です。







帰り、モンゴル料理の「あむ亭」。麻婆豆腐定食とホッピーでランチ。


木皿泉『昨日のカレー、明日のパン』Kindle版)読了。先に読んだ『さざなみのよる』の、既視感のようなものがあって、前作ほどおもしろく感じられなかった(妻はおもしろかった、といっていた)。