かぶとむし日記

映画、音楽、本の感想を中心に日記を更新しています。

緒方 明監督「いつか読書する日」

先日「いつか読書する日」を見てきました。これはロード・ショーにかかったとき「見たいな」って思いながら、見そびれていましたが、今回渋谷でアンコール・ロード・ショーがあって、見ることができました。

田中裕子岸辺一徳の共演する「50歳の恋愛映画」。と、くれば、この二人の共演でおもしろくないはずがない、とおもいますが、二人は予想通り見せる役者でした。

ほとんど化粧もしない50歳の女性を田中裕子が演じています。牛乳配達で坂のある道をかけあがり、町の中を自転車で走り回る女……彼女は生まれた町を離れないで、独身のまま暮らしていますが、実は、この町に密かに思うひとがいるのでした。

じっくり見せる映画でしたか、ぼくはもっといい映画になったのではないか、とおもいました。どこか監督のネライに狂いはなかったのか。仁科亜希子演じる妻が死ぬ前に「わたしが死んだら、あのひとと一緒になってください」といわなかったら、つまりかなり非現実的な状況を受け入れないと、この物語は二人の恋が発展することがありませんでした。愛が成就したあとのいささか安易なエンディング……名作になりそびれた映画という印象を受けました。