かぶとむし日記

映画、音楽、本の感想を中心に日記を更新しています。

川島雄三・成瀬巳喜男共同監督『夜の流れ』


まずはringoさんが、こちらで詳しく作品について触れています。そのコメントとしてアップしました。


ringoさんが触れているように、成瀬巳喜男監督の「流れる」を連想するような映画でした。置屋をきりもりする山田五十鈴(こちらは頼まれマダムだが)の役割もほとんどそれに重なります。

山田五十鈴司葉子草笛光子横山光代市原悦子などの芸者役がどれも、個性的に生きいきと描かれていました。具体的にどの部分で演出を分担されているのかわかりませんが、共同監督としては成功しているのではないでしょうか。

成瀬巳喜男監督の個性はわかっているつもりですが、川島雄三監督をほとんど知りません。その前提でいいますと、成瀬巳喜男監督の単独作品より、全体が華やかで、ストーリーに起伏があるように思いました。「人生にはそうそう突飛な事件は起こらないよ」というような暗黙なルールを成瀬巳喜男作品には感じますが、『夜の流れ』は、「登場人物ひとりひとりにドラマあり!」でございます。ここに川島雄三監督の参加が影響されているのでしょうか。

その変化をおもしろく感じました。それでいて、ストーリーのなかに人間性が犠牲にされて、お話ばかりが先行していくようなこともなく、抑えるところは抑えられて、最後までたのしくみることができました。

カラー映像で、女優たちの粋な着物姿を、きっとringoさんは目を見張ってご覧になったことと思います(笑)。