かぶとむし日記

映画、音楽、本の感想を中心に日記を更新しています。

京都1日目(3月16日)

仕事あけ、東京駅へ向かう。乗りそびれないよう、早めに職場を出たら、ずいぶん早く新幹線乗り場につく。


新幹線は8:06発。缶ビールを飲みながら同行のN(息子、26歳)を待つ。Nも時間より早くきた。発泡酒缶チューハイを買い込んで、新幹線にのる。Nも夜勤あけなので、二人とも新幹線のなかで睡眠をとるつもりだった。


天気予報は曇りか雨の模様。一応折り畳みの傘を用意してきた。京都は寒そうだ。

うとうとして起きると、となりのNはお酒で赤い顔をしたままよく眠っている。外は晴れていて、山が近くにみえてきた。雪をかぶった山がくっきりきれいだ。そこから京都は近かった。


■大原へ行く


京都駅でNとわかれる。Nは、妙心寺や東寺(とうじ)などで、今ひらかれている「冬の特別公開」を見てまわるのが主な目的だった。


ひとりJRバスで大原へむかう。賀茂川に沿って、バスが走っていく。町を広い川が流れていて、窓外に突然大きな寺や神社が見える。京都へきたな、という気がする。携帯音楽プレイヤーでエルヴィス・プレスリーを聴きながら、また少し眠った。


大原へは昼頃着いた。桜の時期には早いので、観光客がすくない。バスから数人がおりただけ。


ちいさな川の流れにそいながらゆるい坂をのぼり、三千院にむかう。歩いて10分の表示がある。




【写真】:川沿いの道を三千院へ向かう


道々、漬け物のみやげもの屋が並んでいた。


「ふつう京都は2月が一番寒いんですけど、ことしはその2月があったかくて、きょうは特に冷えこんでいます」。そんなことを京都の言葉で、みやげもの屋の男性が、観光客に話していた。すごく寒いので、下着替りに、Tシャツを2枚重ねて着る。


三千院の広い境内をゆっくり見て歩く。三千院を出ると、隣接している実光院(じっこういん)、勝林院(しょうりんいん)、宝泉院(ほうせんいん)へはいる。宝泉院は、梅や竹林のある庭園の眺めがよくて、特に樹齢700年の五葉の松がすごい。実光院と宝泉院で抹茶をのんだ。





【写真】:三千院の境内



【写真】:実光院の庭



【写真】:宝泉院の五葉の松



【写真】:宝泉院の梅と竹林


外へ出ると、携帯へ2本電話がはいっていた。


電話して、「いま京都へきています」というと、ひとりは「おれ、いま湯河原。そっちは京都か。いいなあ」という。相手も旅行中というのがなんとなくおもしろい。もうひとりは、「いま京都」といっても、「へえ」といったが関心がなく、すぐに用件を話しはじめた。対照的なのが可笑しい。


来迎院(らいごういん)を見て、バス停まで引き返す。バス停をはさんで反対方向にある寂光院(じゃっこういん)へ向かう。こちらは15分ほどの距離。みやげもの屋は全部閉まっている。案内の掲示板がないとわからないほどの狭い道を歩く。途中の民家で、梅がきれいに咲いていた。足をとめて顔をあげると、山が近くに見えるのがたのしい。



【写真】:寂光院の山門


寂光院は、建礼門院ゆかりの寺だが、2000年に放火で本堂が焼けてしまった。あたらしい本堂や建礼門院の木像ができていたが、こういうものは新築だとどうもありがたみがないな(笑)。


バス停にもどってNに電話する。烏丸御池のホテルにいるというので、乗換えを説明してもらい、そちらへ向かう。バスで三条京阪まで行き、地下鉄に乗り換えて、烏丸御池のホテルへいく。

清水寺高台寺のライトアップを見る

昼間の清水寺を見たのは、もう30年近く前。学生の頃友人たちといき、結婚してからは2度いった。記憶はうすれ、小津安二郎監督の『晩春』や、山田洋次監督の『男はつらいよ』(第1作目?)に出てくる清水寺の方が印象深かった。


【訂正男はつらいよ』(第1作目)は、ぼくの勘違いで、奈良の東大寺でした。勝手な思い込みってこわいですね。訂正いたします。


しかし、ライトアップされた夜の清水寺は息をのむほど美しい。


みやげもの屋の並んだ坂をのぼっていくと、まず赤塗りの三重の塔が浮き上がって見える。さらに近づくと、山に包まれた清水の建物が1つ、また1つと見えてくる。本堂は、はるか向こうだ。



【写真】:清水寺、朱塗りの三重の塔(かなりぶれてしまいましたが雰囲気だけ)



【写真】:清水寺の夜景


遠くを見ると、たくさんの小さな灯りが山と境内の建物を照らしていた。うす暗い灯りなので、山と建物の輪郭がうすれ、1つに溶け込んでみえる。清水寺は、自然と人間の合作がうんだ傑作だな、そんなことをおもう。


ゆっくり歩いていくと、角度によって建物と自然の景観がかわる。どれも美しかった。本堂に立つと、京都の町の夜景が見えた。高い建物のすくない京都では、いまでも京都タワーがひときわめだっている。


「違う人を連れて何度もここへきている。この夜景を見せたくなるんだよね」とNがいった。


清水寺を出て、坂を八坂神社の方へおりていくと、八坂の五重の塔が見えてくる。一度通りすぎて、坂からみあげると、ライトアップされた五重の塔は、みやげもの屋の、屋根と屋根のあいだから、突然出現したゴジラのようなド迫力。たとえが悪いですね(笑)。



【写真】:八坂の五重の塔



【写真】:丸山公園、光の現代彫刻


高台寺のライトアップされた庭園、竹林もすばらしかった。丸山公園では、学生の制作した、光の現代彫刻がおもしろかった。


時間を見ると、9時に近い。お酒が恋しくなる。


jinkan_mizuhoさんから教えていただいた飲み屋さんのリストを、印刷してNに渡してあった。


「どこか行けないかな?」
「これから探すとなると、時間がかかってしまうかもね」


あれこれ相談したが、結局断念して(jinkan_mizuhoさん、すみません!)、Nの知っている三条京阪高瀬川沿いにある安い居酒屋へ落ち着く。なかは、学生の団体客でにぎわっていた。からだが冷えきっているので熱燗をたのむ。めったに飲まない熱燗がうまい。


きょう1日見たことをNと話し、段々に話がひろがり、亡くなった父や母(Nにとっては、祖父と祖母)のむかし話をしているうちにNがおとなしくなった。見ると、目が半分ねむっていた(笑)。