かぶとむし日記

映画、音楽、本の感想を中心に日記を更新しています。

『サージェント・ペパーズ』の輝かしい40年と、或る少年のていたらくな40年(笑)


サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド
まず、ああ40年たったんだな、っておもいます。長いような短いような……やっぱり長いか(笑)。

1967年といえば1949年生まれのぼくは、18歳。15歳のころからビートルズにどっぷり遣って、期末試験があろうが、高校受験があろうが、おかまいなし。嵐が吹こうが、地震があろうが、ビートルズがあれば何も怖くない。とにもかくにもビートルズ、何がなくてもビートルズ、食前食後にビートルズ、朝昼晩にビートルズ……ぼくにはそういう時代でした。

幸いに1964年の夏公開された映画『ビートルズがやってくるヤア!ヤア!ヤア!』のアルバムを買ってから、ずっと時代順にビートルズを聴いてきたので、『リヴォルバー』や『サージェント・ペパーズ』の革新性は、リアル体験としてまともに感じとることができました。同時代に生きた幸運です。

きわめて贅沢な紙質でつくられた見ひらきジャケット。表には、ビートルズを中心にいろいろなひとが整列して並んでいる。ぼくは、そのなかに、もうひとり大好きだったボブ・ディランがいるのが一番うれしかった。なかをひらくと、軍服を着たビートルズの4人が大きく写っている。4人は髭をたくわえていた。

裏面には、全曲の英詞が印刷されている。

予告編のように出たシングル「ペニー・レイン」/「ストロベリー・フィールズ・フォーエバー」を聴いていたので、サウンドにある程度の予測はあったとはいえ、、、

アルバムは、この架空ライヴに集まった観衆のざわめきからはじまる。ストレートだが厚い音に包まれた「サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド」から、エンディングの「ア・デイ・イン・ザ・ライフ」の幻惑されるようなサウンドのキラメキ。『サージェント・ペパーズ』は、ビートルズが架空のバンドに扮した豪華なライヴ・ショーだった。

やっぱりビートルズは凄い! 凄いとしかいいようがない。

そのころ、高校はただただ退屈でした。『サージェント・ペパーズ』のように生きたい。髭をたくわえ、あの創造力あふれるサウンドのように自由に生きてみたい。

髭はもちろん、長髪もだめな高校は話になりませんでした。

ぼくは、年上の大学生とライヴ・ハウスで知り合い、そのアパートへ泊まるようになって、無意味としかおもえない学校をさぼりはじめました。

学校の外の世界にあこがれて、、、

わからなくても、ヨーロッパの映画や美術展を見たり、翻訳されたあたらしい文学を読んでみました。それがどれだけ自分の血になったかは別の問題ですが。

ぼくにとって、『サージェント・ペパーズ』というアルバムは、そういう自由にあこがれた時代の気分が、濃厚につまっています。

それから40年……ビートルズはいまなお輝きを失っておりませんが、少年は57歳になってくたびれました(笑)。

「少年老いやすく、学なりがたし」……『サージェント・ペパーズ』は、日ごろ怠けてばかりいる自分のだめさ加減を思い知らせる、いやなアルバムでもあります(笑)。