かぶとむし日記

映画、音楽、本の感想を中心に日記を更新しています。

スティーヴ・コール監督『スチュアート・サトクリフ 5人目のビートルズ』(2005年)

スチュアート・サトクリフ-5人目のビートルズ

  • 出演:アストリッド・キルヒヘル、クラウス・フォーマン


ビートルズハンブルグ時代、ベースを担当していたスチュアート・サトクリフを追ったドキュメンタリー。


スチュアートとビートルズは、ハンブルグでアストリット・キルヒヘルという魅力的な女性と出会う。ビートルズの5人は、彼女に憧れるが、アストリッドの心を射止めたのは、ステージの奥で、静かにベースを弾いているスチュアート・サトクリフだった。





★アストリッド・キルヒヘル




アストリッドは、荒々しいバンドだったビートルズに、ビジュアル的なセンスを与える。髪をマッシュルーム・カットにし、襟なしジャケットのブレザーを考案する。そして、もっとも早い時期のビートルズの写真をカメラにおさめた。有名な、ハーフ・シャドーの『ウイズザ・ビートルズ』のジャケットのアイディアは、アストリッドの考案したものを参考にしている。


髪型や服装は、ビートルズへの押しつけではない。


アストリッドが恋人スチュアート・サトクリフの髪型や服装を変えたとき、ビートルズは、
「おまえ、いつからオカマのマネをするようになったんだ」と、笑いころげた。


しかし、まもなく、ピート・ベストをのぞく、他の3人(ジョージ、ジョン、ポールの順で)は、自然にそのファッションをするようになった。


スチューは、ビートルズをやめ、再び好きな絵画の道をあゆみはじめる。スチューが脱退して、もっともがっかりしたのはジョン・レノンだった。ジョンは、スチューを敬愛していた。


スチューは、たえず頭痛に悩まされていたが、結局その原因不明の頭痛で、急死する。ケンカで殴られせいであるとか、ジョンに蹴られたのが原因だとか、いくつかの仮説が語られる。脳に陥没があり、脳内に大量の出血があったという。


アストリットは、ハンブルクの空港へビートルズがやってきたとき、スチューの死を報告する。そこにはジョージ・ハリスン以外のビートルズがいた。


ピートは泣き出し、ポールは、アストリットの悲しみをいたわって、肩を抱いた。ジョンは、笑いころげて、それから泣いた。



あまり新事実はない。これまで本に書かれたことが、アストリッド・キルヒヘルやクラウス・フォーアマンから語られるだけ、といってもいい。


ハンブルグ時代、ビートルズにもっとも密接だった二人が、ビートルズハンブルグ時代を語った、というそのことじたいに、一番価値があるのかもしれない。