かぶとむし日記

映画、音楽、本の感想を中心に日記を更新しています。

家城巳代治監督『みんなわが子』(1963年)

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家城巳代治は、「いえき・みよじ」と読むようです。この監督の映画を見るのははじめてで、読み方もはじめて知りました。


「goo映画」の解説では、

未来社版「学童疎開の記録」を植草圭之助が脚本化し、「若者たちの夜と昼」の家城巳代治が監督した全農映の第二回作品。

とあります。



戦争末期、子供たちは、教員に引率されて地方へ疎開にいく。食べ物は十分ではなく、子供たちは常に腹を減らしているが、集団生活を楽しんでもいる。


親たちの面会、子供たちの小競り合い、空腹から起こる食べ物の盗難・・・ひとつひとつのありえたろう事件が、描かれていく。


疎開した町にも空襲は迫ってきたので、子供たちは、さらに山の上に再疎開するが、山には医者がいないので、体に病い(体の弱い)をもっている子供たちは、町のお寺にあずけていく。


しかし、そこが爆撃を受けたとき、彼らの二人の仲間が犠牲になってしまう。



終戦がやってくる。


男性教員は、負けたのがくやしいと泣く。勝利だけを信じて何事も耐えてきたのに・・・と。


女性教員は、なぜもっと早くやめてくれなかったの、そうしたらあの二人の子も死なずにすんだのに・・・。


教員たちは、子供たちの敗戦によるショックを心配する。


しかし、子供たちは村のお神輿をかついで、ワッショイワッショイ・・・と叫び、もうすぐ家に帰れることに興奮し、終戦のショックなどどこにも見られないようだ。




集団疎開の様子を、映画の一部としてではなく、全面的に描いてる作品を見るのははじめてなので、新鮮に見ました。


映画では、戦争の爆撃シーンなどは一切なし。ただ疎開のなかで集団生活をする子供たちの様子をクローズ・アップして描いています。