かぶとむし日記

映画、音楽、本の感想を中心に日記を更新しています。

山田洋次監督『男はつらいよ〜噂の寅次郎』(1978年)


第22作 男はつらいよ 噂の寅次郎 HDリマスター版 [DVD]
もう31年も経つんだ、この映画が公開されてから。


寅さんは元気で、大原麗子はほんとうにきれいだった。大原麗子が亡くなって、思い出した映画は、ぼくの場合この作品だった。女優として彼女が出演する作品を、他にほとんど見ていないことに気づく。


1978年なら、ぼくも29歳か。出演者もみんな若くて、ちょっと感慨を覚えてしまう。



職安から「とらや」にやってきたのはびっくりするほどの美人。団子屋にはあわないのではないか、と、「とらや」のひとたちは気をもむ。


「赤坂におおきな『とらや』ってお店があるけど、うちは何にも関係ないんですよ」とおばちゃんが念を押す。


さらに、仕事の開始時間を「明日、9時からでいいでしょうか」と早苗(大原麗子)が聞くと、、、


「いいんですよ、何時でも。気が向いたときに来てくれれば」とおばちゃんがいう。


このふたつの、おばちゃんの善意丸出しのセリフが大好きで、このシーンを見るたびに、声を出して笑ってしまう。



博の父(志村喬)から聞かされた『今昔物語』の逸話で、人生の虚しさに心を憂える寅さんだが、美人の荒川さん(大原麗子)を見たとたん、恋に目覚めて、俗世にもどってしまう。


しかしながら、、、


旅先で、山間(やまあい)の長い長い木橋を、かばん1つで歩く寅さんが、高僧のように美しい。強い旅情に駆られてしまった。