「卒業までの1年間でブタを飼育し、最後にはみんなで食べたいと思います」
ショッキングな提案に、クラスは当惑する・・・新任の若い先生(妻夫木聡)は、それで「命の勉強をします」と、いうのだが・・・
ブタを食べることが残酷だ、ということを訴えたい、という動物愛護の映画ではない。
クラスの子どもたちは、<Pちゃん>と名づけた仔豚に、ドンドン愛情をそそいでいく。<Pちゃん>は、クラスの人気ものになり、クラスの心は1つになる。
しかし、卒業が近づくにつれて、子どもたちは、最初の先生の提案、
「最後にはみんなで食べたいと思います」という課題に向かいあわなければならなくなる。
<Pちゃん>を「食べる」か「食べない」か・・・子どもたちは、真剣に論議をはじめた。
★
とてもシンプルなメッセージなのに、この映画は、おもしろい。なぜだろう?
妻夫木聡の先生は、クラスの子どもたちに溶け込んでいる。とてもいい感じだ。子どもたちの心を理解しながら、最初の提案以後は、ほとんど口を挿まない。
子どもたちは、<Pちゃん>の未来を、自分たちで決めなければならない。
子どもたちの描き方は、ひとりの子どもを中心にせず、複数の子どもたちの表情を生き生きととらえている。この監督、それがすごくうまい。
子どもが登場する映画は苦手なのに、感動してしまった。