ジョン・レノンが射殺されたのは、1980年12月8日。日本時間でいえば、12月9日。
第1報は、知人の電話で「ラジオを聞いているんだけど、ジョン・レノンが撃たれたみたいよ」。
あわてて職場のラジオをかけてみる。少しして、職場のとなりにある電器屋へいってみると、テレビ・モニターがいっせいに「リヴォルーション」の映像を映し、ジョン・レノンが拳銃で弾丸を5発撃ちこまれ、病院へ運ばれる途中で死亡した・・・と報じている。
頭が混乱してよくわからない。
でも、ありえないことだけど、ジョン・レノンは射殺されたのだ・・・という冷厳な事実だけが心のなかで凍りつく。
市谷駅で号外を配っていた。寒い寒い寒い、熱燗が飲みたい。
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数日前に5年ぶりの新作『ダブル・ファンタジー』を買ったばかりだった。待ちに待ったジョンの新作。
『マインド・ゲイムス』、『心の壁、愛の橋』と次第にフェイド・アウトして、ジョンがスランプのまま半ば引退してしまったあいだも、彼の動向はいつも気になっていた。
そのジョンがとうとう帰ってきた。駄作だろうがどうだろうが、ジョンの新作が聴けるのだ。
ラジオではじめてかかる新曲の「スターティング・オーバー」を聴いて、この声をどんなに待っていたかと、おもう。
新作アルバムは、先鋭的ではないが、美しかった。
正直な第一印象は、復活としてはまあまあで、これから先、もっとジョンは心を直撃するような作品をつくってくれるかもしれない、とにかく戻ってきたのだし・・・そんなことを考えながら、繰り返し『タブル・ファンタジー』を聴いていた。
それが、なんで?
12月8日は、日本軍が真珠湾を奇襲した日でもある。しかし、わたしのなかでは、ジョン・レノンを永遠に失った日として刻まれてしまった。
自然死でないから、この事件を甘く回想することができない。あのぶくぶく太った犯人の顔を思い浮かべると、ただただ不愉快で、ムカムカする。
12月8日のことを、自分に納得させることが、いまでも、うまくできない。
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