![ボブ・ディラン・グレーテスト・ヒット第三集 ボブ・ディラン・グレーテスト・ヒット第三集](https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/I/51f2MOgYakL._SL160_.jpg)
- 作者: 宮沢章夫
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2011/08
- メディア: 単行本
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これは、ボブ・ディランの実際にあるベスト・アルバムのタイトルだけど、それをそのまま使うことって<アリ>なんだろうか。
ともかく、タイトルを見て、「えっ、なんだろう?」とおもい、まさにそのタイトルが気になって読んだ。だから、<アリ>だとすれば、「おっ」と目をひく、効果的なタイトルにはちがいないけれど。
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新宿西口の中古レコード屋さんが舞台だが、その場所の周辺は精密に描かれている。新宿西口で中古レコードや海賊盤を探した記憶のあるひとには、それだけでなんだか懐かしくなってしまう小説だ。
歌舞伎町の放火事件が起きた日、酒を飲むと記憶を失ってしまう中古レコード店の店主は、その放火を自分がやったのかどうか、はっきり思い出せない。むかし、放火のまねごとをして、事前に通行人に殴られた経験のあるその男は、自分はまったく関係ない、といいきるだけの自信がない。
小説は、不明瞭のまま進む。そして、この小説は、その顛末と結果を描いた作品ではない。
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2001年の新宿の空気と、そこで好きな音楽にかかわりながら生きる青年たちの11日間が描かれるが、はっきりした事実は最後までなにも示されない。
わたしは必ずしも事件は解決されなければならない、とはおもはないし、むしろあとに問題を残したまま終わる作品は好きだけど、、、
思わせぶりに、「あなたはまだ本当のことを知らないのでしょう」といって去っていった彼女の言葉の意味まで、なにも説明されないのは、どうなのだろうか、とおもった。