- アーティスト: ボブ・ディラン
- 出版社/メーカー: SMJ
- 発売日: 2016/05/25
- メディア: CD
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ボブ・ディランの新作『Fallen Angels』は、前作『Shadows In The Night』に次ぐ、「ディラン、シナトラを歌う!」(正式なコピーではなく、勝手な命名です)の第2弾。4月の来日でも、セットリストにディランはスタンダード・ナンバーを中心に組んで歌っていたけれど、今回のアルバムもディランのスタンダード・ナンバーへの懐古主義は続いていたのだ。
来日公演で、楽器を持たずスタンド・マイクの前で堂々と自分に酔いしれたように歌うディランに、「う〜ん、これがいまのディランの姿なのか?」と、ディランを見ながら、感慨をおぼえたけれど、ディランはもう1枚その路線でアルバムをつくったのだ。簡単にいえば、今回の新作は前回の続編。
これはこれでいいし、しばらくはディランのスタンダード・ソングのカバーをたのしもうとおもっているけれど、ほんとうをいうと、このスタンダード路線のあとで、ディランはまた新しい顔をみせるはず。そのことに早くも期待が広がる。
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エリック・クラプトンの『I Still Do』に収録されている「I Will Be There」に、ジョージ・ハリスンがヴォーカルとギターで参加しているという話題が先行していた(もちろん、ジョージは亡くなっている。録音の技術的な処理で可能な「共演」だろうが)。それで5月20日、このアルバムを何よりも先に「I Will Be There」から聴いて、ジョージの声とギターに耳をそばだてた。2回、3回と聴く。でも、どこにもジョージらしき歌もギターも聴こえてこない。なんで???
ネットでこのアルバムの新しい話題を検索してみた。
- アーティスト: Eric Clapton
- 出版社/メーカー: Bushbranch / Surfdog
- 発売日: 2016/05/20
- メディア: CD
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ロッキング・オンのwebサイトには、次のように説明されている。
新作の情報が初めて公開された際にはジョージ・ハリスンが参加していると広く噂されることになったが、この噂の出所になったのは、収録曲の"アイ・ウィル・ビー・ゼア"にアンジェロ・ミステリオーゾという参加ミュージシャンのクレジットがあったから。実はこの名前はジョージがエリックなどのアーティストとの共演の際に使った変名として知られているからだ。しかし、世界中のほとんどの媒体がジョージも参加していると先走って報道してしまったため、その後、エリックは自らジョージはどのような形でも参加していないと表明することになった。
エリックはアンジェロ・ミステリオーゾの所以を汲んで今回そうやってみんなが騒いだことについては「とても嬉しかった」としながらも、この曲の共演アーティストはジョージではないと今回も語っている。そしてエリックはこの変名クレジットを今回改めて使ったのは、実際に参加しているアーティストのレコード会社がそのアーティストがエリックと関連付けられるのを嫌がっているからなのだと説明している。
しかし、エリック・クラプトンの「この変名クレジットを今回改めて使ったのは、実際に参加しているアーティストのレコード会社がそのアーティストがエリックと関連付けられるのを嫌がっているからなのだ」という説明を聞いても、わかったようなわからないような、スッキリしない。
結局はアルバムが発売されてからの種明かし、それまでは誤解をそのまま宣伝促進に利用していた、ということだろうか。いまさらそれをどうこういう気もないのだけれど、ジョージのファンとしてはアルバムを聴くまでの期待感と聴いてからの失望感の落差が激しいので、文句のひとつやふたついいたくなる。