かぶとむし日記

映画、音楽、本の感想を中心に日記を更新しています。

ポール・マッカートニー『ラム』(1971年)


Ram

Ram


いまこのアルバムのリマスター盤が発売されて、再評価がすすんでいるみたいですね。わたしには、70年代初期の空気を包んだ懐かしい作品で、聴いていると、1曲1曲が愛しくかんじられます。


ビートルズ解散から時間も経ってなかったし、ジョン、ジョージ、リンゴ対ポールという3対1の関係もあって、ポールへの風当たりが強く、そのせいかこのアルバムへの評価は芳しくありませんでした。


ジョン・レノンは、アルバム『イマジン』のLPのなかに、『ラム』のジャケットをからかって、豚の耳をつかんでこっちを見ている写真を封入したりしていました。




●これですね(笑)。



ポール最初のアルバム『マッカートニー』(1970年)は、全体が散漫で、優れた曲が埋没してしまっているような気がしました。その反省からか、『ラム』はサウンドもしっかりつくられていますし、収録曲もバラエティに富んでいて、いま聴きかえしても、新鮮な感動があります。

  1. トゥ・メニー・ピープル - Too Many People  
  2. 3本足 - 3 Legs  
  3. ラム・オン - Ram On  
  4. ディア・ボーイ - Dear Boy  
  5. アンクル・アルバート/ハルセイ提督- Uncle Albert/Admiral Halsey
  6. スマイル・アウェイ - Smile Away  
  7. 故郷のこころ - Heart Of The Country  
  8. モンクベリー・ムーン・デライト- Monkberry Moon Delight  
  9. 出ておいでよ、お嬢さん- Eat At Home  
  10. ロング・ヘアード・レディ- Long Haired Lady  
  11. ラム・オン - Ram On  
  12. バック・シート - The Back Seat Of My Car
  13. アナザー・デイ- Another Day**1
  14. オー・ウーマン、オー・ホワイ- Oh Woman,Oh Why*


シャウト系ロックあり、バラードあり、1曲のなかでロックとバラードが入り混じる曲あり・・・ポールならではの変幻自在な構成。『ラム』は、充実したアルバムでした。


ポールのアルバム評価が全体にあがってくるのは、ウイングス名義で1973年に発表された『バンド・オン・ザ・ラン』以降というのが、当時の印象ですけど、その2年前にこんな傑作アルバムを出していたんだ、という事実が今回のリマスターの発売で証明されたのは、ファンにはとってもうれしいことです。



それにしても、ビートルズ解散後の1970年代はじめ・・・これからビートルズはどうなっていくのか、いつか再結成はあるのか。


まだビートルズの残照が強烈だったあの時代を、『ラム』を聴いていると思い返さずにはいられません。

*1:「13」「14」は、当時シングルで発売された。