3月21日金曜日、東武練馬駅の「イオン板橋」で、11時20分からの『それでも夜は明ける』を見る。
「自由黒人」でありながら、騙され奴隷に売られてしまったひとりの男の過酷な12年間が描かれていく。
奴隷とか人種差別とか、頭ではわかっているようでいて、実感は乏しい。それが、こういう映画を見ると、その実態の凄まじさに圧倒されてしまう。
使用人は、お金で奴隷を売買する。奴隷は家畜であって人間ではない。ムチで打とうが、蹴ろうが、ロープで吊るしあげようが、それで罰せられることはない。
こういう弱い立場の人間に対して容赦しない「下等な人間」を、現実のなかでも、わたしは複数思い出すことができる。
彼らが使用人になれば、喜んで優位な立場を利用して、奴隷を虐待するだろう。人間というのは(自分を含めて)、そういう下等な部分がある。
映画の傾向がちがいすぎるので簡単に比べられないけれど、わたしには先日見た、アルフォンソ・キュアロン監督『ゼロ・グラビティ』より、ずっと心うたれる作品だった。