かぶとむし日記

映画、音楽、本の感想を中心に日記を更新しています。

『葛城事件』と『ビートルズ来日50周年復活祭』(6月22日)


朝、シャワーを浴びて新宿に向かう。「新宿バルト9」で、赤堀雅秋監督、三浦友和主演の『葛城事件』を見る。三浦友和は、山下淳弘(やました・のぶひろ)監督の『松ケ根乱射事件』(2006年)のダメ親父を見て以来、ファンになった。




『葛城事件』は、三浦友和のダメ親父をもう一度堪能しようとおもって出かけたが、この映画の三浦友和は、ダメ親父の段階を超えて、家族の全員を不幸に追いやってしまう、どうしようもない親父。頑迷で下品で、人を見下す最低な男。気弱な長男は、自殺し、次男は連続殺人事件を起こす。それに耐えられなくなった妻は、精神を狂わせてしまう。


この家族地獄が、社会的要因とか世の中の不条理、とかいうところに原因あるのではなく、ただただその父の頑迷さにあるというのが、すごい。


作品としては陰惨。三浦友和のダメ親父に、『松ケ根乱射事件』のようなデフォルメされたユーモアがあってもよかったけれど、最後まで力をゆるめず、強引に押し切った迫力には負けてしまう。


『葛城事件』予告篇↓
https://www.youtube.com/watch?v=cJjZGqnIsj4



紀伊国屋裏の磯丸水産で、遅い昼食。


そのあと喫茶店で、まもなく映画が公開される桂望実著『嫌な女』を電子書籍で読む。弁護士の主人公と、男を虜にしてしまう詐欺師・・・このふたりの女性の組み合わせがおもしろい。ふたりは、長い年月でどんどん歳をとって、最後は60代になっていくが、映画のほうでは、そのへんどうなっているのだろう? 


嫌な女 (光文社文庫)

嫌な女 (光文社文庫)



ビートルズ・クラブの「ビートルズ復活祭スペシャル」をいっしょに見るため、六本木交差点で、Sの奥さん(S奥さん)と18時に待ち合わせ。18時少し前にいったら、もうS奥さんはきていた。時間があったので、会場の「EX THEATER ROPPONGI」へ行く途中の立ち呑みで、軽く飲む。


ビートルズ復活祭スペシャル」は、三部構成になっていて、一部がビートルズの来日にまつわる映像(ビートルズ・クラブが来日20周年のときに製作したドキュメンタリー)、二部は高嶋弘之(東芝ビートルズ初代担当者)、石坂敬一(高嶋弘之氏のあとのビートルズ担当者?)などのトーク。三部はLOVE PSYCHEDELICO和田唱によるライブ。


一部はビートルズ来日ころの時代の空気が思い出されて、懐かしい。ビートルズを日本に呼んだ故永島達司氏のインタビューもあった。


二部では、石坂敬一氏がビートルズのレコードは繰り返し聴いていたので、武道館の演奏は、よく聴こえた。ひとつひとつの楽器まで聴こえた、と断言。おもわず拍手してしまった。聴こえなかったというひとは、たぶん当時それほどビートルズを聴きこんでいなかったのではないか。わたしも、よく聴こえた。


三部のライブもたのしんだ。和田唱さんは、どちらかというとビートルズの楽曲を忠実に、LOVE PSYCHEDELICOのふたりは、自分たちのアレンジで演奏していたが、それぞれよかった。和田唱さんの「ハニー・パイ」の選曲にはまいった。この曲は和田唱さんがいうように、まだポール・マッカートニーが自分のライブで1度もとりあげてない数少ないビートルズ・ナンバーのひとつ。LOVE PSYCHEDELICOは、いきなり「ヘルター・スケルター」で、ガツンと迫ってきた。ナオキのギターがダーティな音を奏でて、かっこいい。どちらのライブも、ビートルズへの愛情が感じられて、気持ちよかった。



時間があれば、終わってからS奥さんともう少し飲んで別れようとおもっていたが、19時からはじまったイベントの終了が、22時を過ぎていた。遅くなってしまったので、六本木駅でS奥さんと別れ、アパートのある東武練馬駅までもどってから、駅近くの「庄屋」でひとり飲む。