5月4日木曜日、祝日。
妻といっしょに、六本木の俳優座劇場へ夏目漱石原作の『それから』を見にいく。
『それから』は、男女の三角関係を描いた恋愛小説と、当時の社会を切った文明批評の側面がある。森田芳光監督の映画『それから』(2005年)は、恋愛のほうへ焦点をあてて、映像のおもしろさや美しさでそれを艶やかに彩っていた。主演の松田優作、藤谷美和子、小林薫の3人がよかった。とくに三千代を演じた藤谷美和子が最高に美しいころだった。藤谷美和子を見ているだけで飽きない。
演劇を見ながら、その映画のことが頭をよぎる。
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今回の演劇は、舞台は一室だけで、その部屋が代助の家にも、平岡と三千代の夫婦が暮らす家にもなる。出演者は、3人だけ(途中、「寺尾」役でゲスト主演したひとがいたが、出ないほうがよかった)。
三千代役の帆風成海という女優は、きれいで品があり、違和感がなかったが、代助役の平野良という役者は、日々読書や絵を見て暮らす高等遊民には見えなかった。
自分が演劇と相性がよくないな、とおもうのは、役者のセリフや表情が、たいていおおげさに感じられてしまうこと。この『それから』でも、代助役の演技に過剰を感じた。これは、わたしが演劇というものを理解していないからだろう。
演劇版『それから』も、文明批評より恋愛ドラマが主体。『それから』の文明批評、というか日本人への辛辣な批判は、いまの時代にもあてはまるところがあって、いまだからこそ、それをダブらせてもおもしろいような気がしたが、そういう毒は表現されていない。
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